夏休み明けが近づき、学校に行きたくない、生きていることがつらいと感じている人がいるかもしれません。東京都足立区では、小学校などでなやみをかかえた子が周りにSOSを伝える方法を授業で伝えています。大人から友だちまで、相談できる人がいることを呼びかけています。(畑山敦子)
つらい時、SOS発するには
「つらい思いをした時、ゆっくり息を吸ってはいてみてください」。6月下旬に区立大谷田小学校であった授業「自分を大切にしよう」では、東部保健センターの保健師が5、6年生に語りかけました。
授業では「一人ひとりが大切な存在」だと呼びかけます。つらい時、自分でできることとして、深呼吸や氷をにぎって心を落ち着かせるなどの方法を紹介。いじめを受けているか調べるチェック項目も伝えました。
助けを求めていい
自分だけではつらい時の一番のおすすめは「信頼できる人に相談すること」。保護者や先生などの大人に相談するよう呼びかけます。周りの誰にも話せない時、相談できる窓口もあります。友だちがいつもと様子がちがったら、声をかけて話を聞くこともすすめました。
6年の子どもたちは「つらい時、誰かから助けてもらってもいいんだということを知れてよかったです」、「相談できる人として友だちが思いうかびました。ぼくも友だちがなやんでいたら話を聞きたい」などと話していました。
足立区こころとからだの健康づくり課長の馬場優子さんは「子どもの皆さんをとりまく環境はさまざまで、自分は大切に育てられていないと感じていたら、『命を大切に』と言われてもつらいかもしれません。まず『自分を大切にしてほしい』と伝えています」と話し、子どもたちが追いこまれず、助けを求められる環境をつくりたいとしています。
SOSの出し方を伝える取り組みは、都内のほかの学校などにも広がっています。
夏休み明けには要注意
厚生労働省がまとめた2017年の人口動態統計では、戦後初めて、10~14歳が亡くなった原因の1位が自殺でした。
若者の心の健康や自殺予防に取り組むNPO法人「ライトリング」代表理事の石井綾華さん(30歳)は「若い世代の自殺は理由が不明で、なやんでいることに周りが気づかないうちに命を絶つことが多くみられます。最近はSNSで『死にたい』などの思いを発信する子も増えてきました」。夏休み明けが近い時期は、大人がこうしたメッセージを注意してみることや、子どもの思いを否定したりアドバイスしたりせず、受け止めることが大事だと言います。
石井さんは、子どもたちに「他人と比べたり、友だちに無理に合わせたりしなくてもいい。もし、親や先生に本音を言えない時には、相談機関にあなたの気持ちを聞かせてください。あなたを認めてくれる人は必ずいます」と話しています。
【つらい気持ちを聞いてほしいときは】
チャイルドライン
フリーダイヤル0120・99・7777 通話無料 毎日午後4時~9時 https://childline.or.jpからメッセージも送れます
子どもの人権110番
フリーダイヤル0120・007・110 通話無料 月~金 午前8時半~午後5時15分
24時間子供SOSダイヤル
フリーダイヤル0120・0・78310 通話無料 いつでも24時間
【生きているのがつらいときは】
東京いのちの電話
電話番号03・3264・4343 いつでも24時間
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