『桜木建二が教える 大人にも子どもにも役立つ 2020年教育改革・キソ学力のひみつ』
構文から見える文化的背景も知ろう
英語をマスターするために、よかれと思ってやっている丸暗記英語は弊害ばかりということのようだ。では、そうならないための英語の学習法とはどんなものだろうか?
「つねに意味を考え、理解しながら英語を覚えていくことが必要です。そうすればちゃんと英語の学力もつくし、使える英語が身につき、思考力も伸ばせます」
これはつまり教える側の問題が大きいということだな。この単語帳に載っている語句はいつまでに全部覚えろ、テキストに出てきた構文、テストで頻出するから覚えておけ、というようでは、丸暗記を促すことにしかならない。
「本来、英語という知識体系にはすべて意味がある。教えるときには単語一つひとつの成り立ちを説明し、文法に含まれる英語圏の人たちの思考法のクセを指摘し、構文から透ける文化的背景を踏まえる必要があるのです」
そうすれば単語も文法も構文も、納得のうちに頭に入ってくるはずだ。教える側に「英語を語れる」能力が必要となるのだな。
「その通りです。丸暗記英語ではない学習は、最初は子どもが自力でできるものではありませんから。
私の授業は丸暗記英語を排し、ひとつずつ理解を深めながら英語を覚えていけるよう工夫していますし、そうなるよう長年改善を重ねてきました。
丸暗記ではない英語とはどういうものかを知るには、ぜひ『スタディサプリ』の授業をのぞいてみてほしい(笑)。それがいちばん早い!というのが私の思いです」
「理解」が伴えば知識は定着する
ここでひとつ気をつけるべきは、理屈を知り納得しながら勉強を進めようとするとき、何も単語や文法を覚えなくてもいいというわけじゃないということだ。
「はい、知識なんていらないということではまったくありません。そうではなく、勉強のプロセスを変えようということです。英語を理解しながら頭に入れていけば、心配せずともしっかり頭に残っていくものですよ。
むしろ丸暗記のほうが心配でしょう。丸覚えしたものは短期間の記憶にしか残らず、ある程度の時間が経てば丸忘れしてしまいます」
理解しながら英語を学ぶ。そのほうが勉強は楽しそうではあるのだが、さて、本当にすべての英語の事象に理屈や語るべきものがあるものなのか?
「もちろんありますよ、言語とはそういうものです。たとえば “Good morning.” というあいさつ。この言葉を知らない人はいないでしょうけれど、直訳すれば『よい朝』というフレーズがなぜあいさつになるのか。
あれはお祈りなんですよね。「あなたによい朝が訪れることをお祈りしています」という意味を、縮めて言っています。つまりは、“ I wish you a good morning.” を省略したものなんです。
英米文化圏のあいさつはすべてお祈りからできている、そうした文化の特徴や違いを知ることが大事ですし、それがわかるとほかのあいさつフレーズもすんなり覚えることができるんじゃないでしょうか」
関正生 1975年7月3日、東京都生まれ。スタディサプリ・英語講師。埼玉県立浦和高校、慶應義塾大学文学部(英米文学)を経て、塾講師に。TOEICⓇL&Rテスト990点満点取得。英語参考書や語学書の執筆も手がけ、著書は、『子どもの英語力は家で伸ばす』(かんき出版)など70冊以上にのぼる。モットーは「英語に丸暗記はいらない」。
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「ドラゴン桜2」 作者は、漫画家・三田紀房さん。中堅校に成長したが、再び落ちぶれつつある龍山高校が舞台。弁護士・桜木建二が生徒たちを東大に合格させるべく、熱血指導するさまを描く。教育関係者らへの取材をもとに、実用的な受験テクニックや勉強法をふんだんに紹介している。雑誌「モーニング」(講談社)や「ドラゴン桜公式メルマガ」で連載中。
ライター・山内宏泰 主な著書に、『ドラゴン桜・桜木建二の東大合格徹底指南』(宝島社)、『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』(星海社新書)、『文学とワイン』(青幻舎)などがある。
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