シショドク
公立図書館の司書が、おすすめの本を紹介します。
『白狐魔記 源平の風』
白駒山で修行し不老不死となった狐が、日本史の重要な事件や人物と出会う中で「人間とは?」を問い続けるシリーズの第1巻。
狐は親離れした時に、一番恐ろしく一番賢い相手は人間だと見定めて、人間を知ろうと人里に近づきます。源義経、毛利元就、楠木正成、織田信長、天草四郎。約500年もの間、重要な人物と関わった狐が今の時代にもいるとすれば、誰と行動し、何を見るでしょうか。
自然を守ろうと思いながらも環境破壊を続ける人間、文明が発達する過程で殺し合うことになっていった人間。狐の目線で人間を見ると、賢いがゆえに愚かであることが分かります。
同時に「縁」という、けものにはない深いつながりを大切にすることに、狐は魅力を感じます。易しく臨場感あふれる文章でその時代に引き込んでいくタイムファンタジーです。
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大野城まどかぴあ図書館(福岡県) 河北奈津子
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