【異能とは!?】つきぬけた才能を持つ人を「異能」と呼びます。異能を支援するため、ソフトバンクグループ代表の孫正義さんが「孫正義育英財団」を立ち上げました。財団生に選ばれた第2期生が夢中になる研究を紹介します。
第6回 東京大学教養学部2年 渡邉明大(19歳)
月日がたつのは早いもので、大学生活の2年目が始まりました。高校生のころは「国際物理オリンピック」に出場していて、最後の大会で総合1位だったことを評価していただき、2018年4月に推薦入試で東京大学に入りました。今は、同級生や先輩と物理や数学のゼミに明けくれる毎日です。
小学生のころから算数が好きで得意でした。国語とちがって明確な答えがあること、それでいて一つの問題にいろいろな解き方があることにひかれていた記憶があります。知っている方も多いかもしれませんが、「算数オリンピック」という小学生向けの算数の問題を解くコンテストがあり、それにも出場していました。もちろん勉強ばかりというわけでもなく、ドッジボールやポケットモンスターにはまっていました。中学受験で奈良・東大寺学園に入学したあとも、数学好きは変わりませんでした。
中学2年の秋、ひょんなことから物理の勉強を本格的に始めたのが一つの転機でした。物理は、「数学を言葉として、この世界を記述する学問」です。今まできれいな理論としての数学の側面しか見てこなかったぼくは、数学が生き生きと活躍し、自然の法則を解き明かすようすのすっかりとりこになってしまいました。
せっかくがんばっているのだからとチャレンジした物理オリンピックでも、日本代表として3年連続の金メダルという、よい成績を残すことができました。
今の夢は理論物理学者になることです。特に、小さな物質が点ではなく、ひもの形をしているのではと考える「超弦理論」のような、数学と物理がクロスする分野を研究したいと思っています。純粋な興味で勉強していた数学が、一見まったく関係なさそうな物理につながっているようすを見て、とてもおもしろいと思ったからです。例えば、空間の穴を探す「トポロジー」という数学の分野が、物理の電磁気学の重要な背景になっていたり! といっても、先人たちの足跡は偉大で、最前線の研究はおろか、まだまだ勉強しなければいけないことばかりです。
しかし、自分がおもしろいと思う分野をつき進むのは、壁にぶつかることはあれど、やはりとても楽しいです。これまでをふり返ってみても、楽しいから続けられたことばかりです。これまで通り、いやこれまで以上に物理や数学を楽しんで、成長していけたらいいなと思います。
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