感染や悪化を防ぐには?
全国的にインフルエンザの大流行が続いています。もうかかった、学級閉鎖になっている、という人も多いことでしょう。予防や、悪化させないためにどうすればよいか、また、なぜこんなに流行しているのかを専門家に聞きました。(小勝千尋)
予防接種で安心しちゃダメ
予防接種を受けたからと、油断している人はいませんか。「必ずしも感染を防げるわけではない」と国立感染症研究所医学博士の砂川富正さんは話します。
インフルエンザのウイルスはのどや鼻の粘膜から体内に入るため、血液中にウイルスを殺す抗体を作っても、感染を防げないこともあるそうです。予防接種で重症化を防ぐことは期待できます。「ただ、今の時期は病院に行くことが感染のリスク(おそれ)を高めることにもなるので、注意しましょう。効果は半年はもつので、次のシーズンからは流行前に受けておくといいでしょう」
インフルエンザは、せきやくしゃみ、会話時に飛ぶ唾液による「飛沫感染」と、患者が口や鼻にさわった後にふれた場所を別の人がさわる「接触感染」でほかの人にうつります。
飛沫感染を防ぐには、患者と2メートル以上の距離をとることなどが大切です=イラストを見てね。接触感染は、口や鼻にむやみにさわらないことや、こまめな手洗いなどで予防ができます。
もしも家族がインフルエンザだとわかったら、できるだけ別の部屋に入ってもらいましょう。ドアノブ、みんながさわるところはアルコールを使ってふくことが効果的です。
この時期、急激に熱が上がり、体の節々が痛んだときは、インフルエンザの可能性が高いため、病院にかかりましょう。水分をとり、薬を飲んで、安静にすることが大切です。熱が下がってから2日間(熱が出てから最低5日間)は、うつす可能性があるので、学校などへは行けません。
インフルエンザが引き起こす病気「インフルエンザ脳炎」も今シーズンは例年と比べて多いそうです。ぐったりして、けいれんやうわ言の症状が出ます。通常は6歳以下に多い病気ですが、小学生がかかり、亡くなることもあります。「インフルエンザの流行時期にこのような症状が出たら、すぐに病院に行きましょう。最近は治療技術が進み、死亡率も下がっています」
今後B型ウイルスに注意
厚生労働省によると、全国約5千か所の医療機関から報告された最新の1週間(1月21~27日)のインフルエンザ患者数が、1か所あたり57・09人です。今の調査方法になった1999年以降で最多です。全都道府県で、警報レベルの30人をこえています。
大流行の理由は、はっきりとはわからないと砂川さんは話します。2017~18年にかけての昨シーズンも、世界的に流行しました。「去年と今年の共通点としてあげられるのは、2種類の型のウイルスが同時にはやっていることです」
今シーズンのウイルスの型は、はじめAH1N1型が多く、年が明けたころからA香港型がはやり始めました。そのため、一度かかっても、ちがう型にかかることがあります。先月急に寒くなったことや、少雨や暖房のため、空気が乾燥していることも流行の原因と考えられるといいます。
今後は次第に流行が落ち着く見こみですが、新たにB型ウイルスが増えてくるかもしれません。「一度かかったからといって油断せず、予防しましょう。5月くらいまではB型が見られることが多いです」
外部リンク