百十四銀行は31日、30代の元男性行員が友人に顧客情報を漏らしていたと発表した。顧客の一部は詐欺事件の被害に遭っており、同行は「情報が何らかの経路で犯人に渡った可能性が高い」としている。同行は28日付で懲戒解雇処分にし、元行員らの刑事告訴を検討している。
同行によると、元行員が漏えいした情報は法人3社、個人14人の計17件。昨年11月~今年8月、友人男性に数回にわたり漏らしていた。関係者によると、元行員は東大阪支店(大阪府東大阪市)に勤めていた。
漏らしていたのは、顧客の氏名や住所、電話番号、預金残高など。これらの顧客情報を記した紙を渡したり、電話で伝えたりしていた。友人は顧客を名指しして情報提供を求めていたという。
元行員が9月中旬に詐欺事件に関係して県警の事情聴取を受けたことから、内部調査を進め、17件の漏えいが判明。顧客の元へ謝罪に出向いた際、県内の男性1人が1900万円をだまし取られる被害に遭っていたことが分かった。県警はこの男性が被害に遭った詐欺事件で10月2日に男3人を逮捕している。
内部調査に対し、元行員は「法令違反と分かっていたが、仲の良い友人に頼まれて断り切れなかった。犯罪に使われるとは思っていなかった。金銭的な見返りは受けていない」と説明しているという。
元行員の上司の支店長と支店次長については、けん責の懲戒処分とした。