あなたに手紙を書きます。子どもの好き嫌いに悩む親のあなたに手紙を書きます。
まずは、あなたの言動をふり返ってみましょう。「このドラマは好き」「このお店は嫌い」「あのお母さんは好き」「この味付けは嫌い」と、「好き、嫌い」で物事を判断し、それを口に出していませんか。
人が大人に成長する過程で、自分の思いをはっきりと口にするのは大変重要なことです。しかし、その判断には「好き、嫌い」のほかにもいろいろあります。
例えば、「良い、悪い」「正しい、まちがっている」「賛成、反対」などなど。これらと「好き、嫌い」には、決定的なちがいがあります。ほかの判断基準は、「なぜ正しいのか」「なぜ反対なのか」と、その理由を明確に述べる必要があります。
しかし、「好き、嫌い」は必ずしもそうではなく、「何となく好き」「生理的に嫌い」「好きなんだからしょうがない」なんて言うことができます。
もし、あなたの判断が「好き、嫌い」にかたよっていれば、当然、子どももその影響を強く受けます。理由がなくても、「嫌いなものは嫌い」でまかり通ると思ってしまうのです。
かんたんなことです。まず、「好き、嫌い」を口にする回数を少し減らしてみる。その分、「良い、悪い」などほかの判断基準を口にしてみましょう。きっと子どもは変わってきます。私はそう信じています。
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ひきた・よしあき 博報堂のスピーチライター、博報財団コミュニケーション コンサルタント
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