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書店員さんが、今おすすめの1冊を紹介します。
穂村弘/著、文春文庫、799円 食べ物についてのエッセー――といっても、この本にはおいしそうなごちそうも、料理が上手にできるコツも、まったく出てきません。 「もしも宇宙人が地球人を食べに来たら」「これから死ぬまでパンとごはんのどちらかしか食べられないとしたら」という非現実的な妄想や、ふとんの中で菓子パンを食べたり、深夜にシリアルを無意識に1袋食べたりするような、ダメダメでかっこ悪い日常の様子が次々と繰り出され、思わず笑ってしまいます。
著者の穂村弘さんは、実は短歌界の大スター。言葉の用法と効果を知りつくした魔術師が生み出す「笑い」は、テレビや動画では決して体験することのできない世界を見せてくれます。まるで中毒性があるスナック菓子のような楽しい本です。 (東京・HMV&BOOKS 日比谷コテージ 花田菜々子)