知識を身につけ、しっかり定着させる――。こうした目的に対し、効果が期待できそうな取り組みが「暗記」。中高生にとって欠かせない勉強の一つです。朝日中高生新聞の読者特派員は、どのような方法をとり入れているのでしょうか。いくつかの取り組みを紹介します。参考にしてください。(山田泉)
写真のように焼きつける
Aさん(神奈川・中学3年)
Aさんがおもに実践しているのが「目で見る」。理科や社会は授業のノートを「ひたすら見直す」ことで、ページを写真のように頭のなかに焼きつけます。
大切なことがひと目でわかるように使う色をしぼり、シャープペンと2色のペン、1色のマーカーといった具合。授業に対して「その時間のうちに覚える」と集中して臨み、さらにノートを何度も見直すことで、テストのときに「ノートの内容がよみがえってきて、思い出しやすくなる」。
友達の大半がノートをルーズリーフにまとめ直していることから「書いて覚える」という方法を試したことがありました。しかし、3枚ほどまとめたところで挫折。「まとめ直す時間をほかのことに使うほうが私には有意義。自分には向いていない」。テストの前などは通学で利用する電車内でも、この方法で勉強しています。
暗記でとり入れているのは「目で見る」方法だけではありません。たとえば国語。百人一首を覚えるときはテキストを音読、漢字を覚えるときは「書く」。英単語などを覚えるときはルーズリーフにまとめ、テスト前に見直します。
興味を持てば記憶に残る
Bさん(大阪・高校2年)
集中できる場所と時間を選ぶのがBさんのスタイル。「自宅で食後」が中心のようです。ぶつぶつとつぶやきながら「1回、1回を最大限に集中して覚えることが、いちばん効率がいい」。
暗記について科目(教科)によって得手不得手があり、社会は比較的得意なほう。世界史の場合、覚える時代や場所のイメージをふくらませ、自分がその場にいるような気持ちで取り組むと記憶に残りやすいそうです。「昔の人がどんなことをしていたのか、いまの世界になったのはどのような要因があったからかといったことにすごく興味がある。どれだけ楽しく学べるかが暗記の『かぎ』では」
漢字は「書きまくる」、英語は「しっかりと音読」。Bさんは分野や科目に応じて異なる暗記法をとり入れています。ただし、苦手な科目などについては「自分なりの方法を見つけられていない気がする。おもしろさに気づけば暗記もはかどるのだろうけれど」。
なかなか覚えられないことを入力しておき、最も忘れやすいころに思い出させてくれる――。そんなアプリがあればいいのにと思うこともあります。「でも、記憶の定着具合を考えるとき、やる気に勝るものはない」
通学時間や寝る前に確認
Cさん(千葉・高校1年)
英単語を覚えるとき、アプリを利用し、通学で往復する電車のなかなどで音声を聞きます。正確に聞き取ったり発音したりできるよう、はじめは倍速にしないのがポイント。そのうえで、単語帳で意味とスペルをチェックします。
スペルを覚えるために手を動かして書き、身についているかどうかを確認するときはテスト形式で覚えた単語の意味やスペルを書き出します。Cさんは「インプットだけでなく、アウトプットもすることでテストのときに役立つ」。
寝る前のちょっとした時間も暗記にあてます。「取り組むために時間をつくるのはもったいない。それこそ寝転がってでもできるものがあるので、暗記にはすき間の時間を利用する」
片仮名の用語が多い世界史の場合、人名なのか地名なのかがわからなくなりがち。それぞれの時代の前後関係や各国のつながりといった知識と関連づけるなど、記憶が定着しやすいよう、工夫もこらしています。
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