「本屋さんの一期一冊」
書店員さんが、今おすすめの1冊を紹介します。
『ぼくたちが選べなかったことを、選びなおすために。』
血液のがんにかかり余命宣告を受けているカメラマンの幡野さんは、同じ病気を患う人や、母をがんで亡くした人、自殺をしようと考えている人など、さまざまな人に会いに行き、彼らの話を聞きます。
そこで展開されるのは私たちが想像しがちな感動のストーリーではありません。実の家族から虐待され、意に反する宗教を押し付けられ、生きたいように生きる自由を奪われ、死に方まで決められてしまう。「家族」がいかに本人の人生を壊すかを暴いています。
「生まれるときの家族は選べないけど、大人になったら家族を選べる」。常識破りで自分本位な幡野さんの言葉は、家族の問題で苦しんでいる人や自分を抑えつけて生きている人の足かせを断ち切ってくれそうです。
(東京・HMV&BOOKS 日比谷コテージ 花田菜々子)
幡野広志/著、ポプラ社、1620円
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