2014~18年の5年間に県内で道路を横断中に車にはねられて死亡した歩行者のうち、車から見て右側から横断していたケースが左側から横断したケースの約2倍に上ったことが県警の調査で分かった。特に夜間に高齢者が被害に遭うケースが多く、県警交通安全企画課は「歩行者、ドライバー双方の油断が事故につながっている」として注意を呼び掛けている。
同課によると、14年からの5年間に、横断中に車にはねられて死亡した歩行者は66人。このうち「右から横断」は42人で、「左から横断」(24人)の1・8倍だった。夜間の65歳以上に絞ると、29人中21人が右から横断で、左から横断の2・6倍とさらに顕著になっている。
右から横断は、対向車線がある分、左から横断よりドライバーが歩行者に気付きやすいと思われがちだ。しかし、同課は「ドライバーは歩道に近い左側への警戒が強い反面、『まさか右からは来ないだろう』と油断しやすい」と指摘。車のヘッドライトが対向車への配慮から右側の照射範囲を抑えた設計になっていることや、自分の車と対向車のライトが交錯すると歩行者が見えなくなる「蒸発現象」が起きるため、夜間はさらに気付きにくいという。
一方、歩行者も車道に出てからの距離が長いため「ドライバーは自分に気付いているはず」と過信しやすい。特に高齢者は歩くスピードが遅いため、車が100メートル以上離れていても渡り切る前に車がすぐそばまで来ている危険性があるという。
同課は「ドライバーは『右からの横断もある』との意識を持ち、夜間はライトをできるだけ上向きにして走行を。歩行者は遠回りでも横断歩道を利用して」と呼び掛けている。
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