『桜木建二が教える 大人にも子どもにも役立つ 2020年教育改革・キソ学力のひみつ』
正しい勉強の習慣をつければ、教育改革も恐るるに足らず
年度が変わり、気分も改まったところだな。気づけば教育改革のスタートまであと1年だ。
いろいろ対策を始めなくちゃいけないのでは?とソワソワする気持ちも、まあわかる。
だがな、焦る必要はないんだ。まっとうな学びを積み重ねていれば、恐れるものなんて何もない。正しい勉強の習慣や型を身につけて、あとは実践あるのみだ!
ここでいまいちど、勉強のしかたを見直してみよう。そのためにぜひお話を聞きたかったのが、清水章弘さん。
東京と京都で運営している学習塾「PlusT(プラスティー)」は、勉強のやり方を教えるという触れ込みなのだ。
自身も授業を担当しながら、全国の学校、教育委員会、企業のアドバイスをしている。国の制度に先行して、独自に「わが教育改革」を推し進めてきたようなものだな。
「本来、学ぶことはそれ自体が喜びですし、学ぶ本人が自律しておこなうのが本当の姿ですよね。ですからプラスティーでは、詰め込み学習はしません。
指導者と学習者で、なぜ勉強をするのかという目的や、何をめざすかといった目標を共有して、進むべき道をともに歩んでいくスタンスをとります」と、清水さんが説明してくれたぞ。
なるほどこの塾は各教科の内容ももちろん教わるが、それ以前にみずから学ぶ方法、すなわち「自学力」の身につけ方を教えているのだ。
塾で人気の個別指導。でも、先を考えると注意したい点も
現状、日本では、塾・予備校が「学びの場」として欠かせないものになっているのはまちがいないところだな。
これだけたくさん存在するとなると、どんな塾を選ぶかが重要になってくるだろう。広く学校へのアドバイスなどもしている清水さんに、客観的な視点から、塾の選び方を指南してもらおう。
まずは「形態」だ。見渡すと、塾にはマンツーマンの個別指導、複数の生徒が集団で授業を受ける形式、その折衷のような少人数授業などがある。
このところは「個別」の人気が高いようだな。受講料も高くなるが、その分だけ効果もあるんじゃないかと、保護者は期待してしまうものだが……。
「そうですね、教科や分野によっては、個別が効果的なこともあると思います。
たとえば国語の記述問題できめ細かい添削が必要なときですとか、算数でなかなか概念が理解しづらい単元だったり。
ただし、ひとつ気をつけたいことがあります。マンツーマンで教えてもらうことに慣れ過ぎると、サポートなしで勉強するのが苦手になってしまうこと。
大人に依存しながら勉強していってもたしかに、中学受験あたりまでは合格することができます。
ただ、大学受験になると、『人に言われたことをやる』スタイルのままでは太刀打ちできません。
それに、大学というのは教育機関であるとともに研究機関でもある。学生は教育を受ける者であると同時に研究の徒でもあるのです。
独り立ちして学びを進められないようでは、研究なんて無理ですよね。やはりできるだけ早いうちに、みずから学ぶ姿勢を身につけるべきですね」
清水章弘 1987年、千葉県生まれ。私立海城中学高校、東京大学教育学部を経て、同大学院(教育学研究科)修了。勉強のやり方を教える塾「プラスティー」を東京と京都で運営。著書は『東大生が知っている 努力を結果に結びつける17のルール』(幻冬舎)など多数。最近は、TBS系「教えてもらう前と後」(火曜よる8時~)に出演し、次回は4月9日(火)。1児のお父さん。
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「ドラゴン桜2」 作者は、漫画家・三田紀房さん。中堅校に成長したが、再び落ちぶれつつある龍山高校が舞台。弁護士・桜木建二が生徒たちを東大に合格させるべく、熱血指導するさまを描く。教育関係者らへの取材をもとに、実用的な受験テクニックや勉強法をふんだんに紹介している。雑誌「モーニング」(講談社)や「ドラゴン桜公式メルマガ」で連載中。
ライター・山内宏泰 主な著書に、『ドラゴン桜・桜木建二の東大合格徹底指南』(宝島社)、『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』(星海社新書)、『文学とワイン』(青幻舎)などがある。
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