綿密に組まれたカリキュラムや、私立校などとくらべたときの費用の安さはもちろん、大学入試での結果も注目を集める「公立中高一貫校」。国立の東京大学や京都大学、私立の早稲田大学や慶応義塾大学といった難関大学に合格する生徒を出す学校も少なくありません。中学から入学した生徒が大学受験に臨んだ学校を中心に、今春の合格実績を調べてみました。(大島淳一)
古河中等、1期生が「健闘」
この春の大学合格実績で注目を集めた公立中高一貫校が茨城県立古河中等教育学校。2013年に開校し、この春の大学入試に臨んだ生徒たちが「1期生」でした。
東京大学と京都大学にそれぞれ1人が合格。早稲田大学や上智大学、GMARCH(学習院・明治・青山学院・立教・中央・法政の各大学)など人気が高い私立大学でも合格者が出ており、周囲からは「健闘した」という声が聞かれます。
目標は「高い学力と豊かな人間性を兼ね備えた次代のリーダーの育成」。そのための取り組みとして「Σソフィア・プロジェクト」を導入しています。英語や理数科の学習に力を入れたもので、プロジェクトの名称は、すべての和を意味する「Σ(シグマ)」と英知を意味するギリシャ語の「ソフィア」を組み合わせました。
前期課程(中学に相当)では週33時間相当の授業を実施。数学と英語は週5時間相当の授業をおこない、公立中高一貫校の特例を利用して高校での内容も一部を先取りで学習。後期課程(高校に相当)では難関大学や医学部の受験に対応するための授業をとり入れ、進路に応じた課外授業もおこなわれています。
首都圏にある公立中高一貫校のうち、この春の大学入試で東京大学の合格者がいちばん多かったのは県立千葉高校でした。前年度にくらべて3人少なくなりましたが、19人が受かり、京都大学にも10人が合格しました(前年度は8人が合格)。
県立千葉高校は東京都立日比谷高校や西高校、埼玉県立浦和高校、神奈川県立湘南高校や横浜翠嵐高校などとともに首都圏を代表する公立の進学校に位置づけられています。「学び」のおもしろさをさぐったり、より深めたりする取り組みを重視しており、大学入試に向けては、それほど積極的な指導はおこなわれていないといいます。
東京大学の合格者が多かった首都圏の公立中高一貫校は都立小石川中等教育学校(16人)や都立武蔵(8人)などが挙げられます。
付属の中学が2012年に開校した横浜市立南高校は前年度より3人多い8人が合格。「高い学力の習得」を教育理念に掲げており、早稲田大学や慶応義塾大学といった私立の難関大学でも合格者数が増えました。
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