前回、便秘の相談に来たお母さんが再びやって来ました。
ママ 先日はありがとうございました。新しい便秘薬をもらったら、毎日すっきりです。それで、気がついたんですけど、うちの子も便秘みたいなんです。子どもが便秘って珍しくありませんか?
モモ そんなことありません。日本の小学生の調査では、排便回数が週に2、3回以下の児童は、男児13・2%、女児24・1%だったそうです。
ママ まあ、そんなに多いの!? でも、どうして子どもが便秘になるのかしら。
モモ 子どもの便秘には二重の悪循環が関係しています。一つは、排便の時に便が硬くて痛い思いをすると排便を我慢するようになり、ますます便が硬くなって排便時に痛くなるという悪循環。
もう一つは、便がたまって直腸が広がると、直腸が慣れてしまって便意が起こりにくくなり、ますます便がたまるという悪循環です。小学生ではそのきっかけとして、学校ではうんちがしにくい、ということがあるようです。
ママ 確かに、家庭のトイレに比べると学校のトイレは使いにくいし、時間割とタイミングを合わせるのもむずかしいそうですよ。
モモ だから子どもの便秘には、食事や生活習慣の改善が大切です。できるだけ朝にうんちをする余裕を作ってあげること。早寝早起きし、朝食後に家でトイレの時間を確保するようにしてください。
ママ 食事はどうすれば?
モモ やはり食物繊維が大切です。生の野菜サラダが嫌いなら無理に食べさせなくても、おやつをリンゴやミカンなどの果物にする、ご飯に玄米や雑穀を混ぜる、ブラン(小麦を粉にした後に残る皮)入りのシリアルにするなど。最近の子は案外運動不足で、それが便秘の原因にもなります。
ママ 確かに、外で遊ばずゲームばっかりしてるわ。
モモ 生活習慣を改善しても便秘が続くようなら、子どもでも安全に使える薬がありますから、医療機関に相談してみてください。
ママ そうですね。私もすっきりしたので、子どももすっきりさせてあげたいわ。
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百枝幹雄 ももえだ・みきお 聖路加国際病院副院長 1958年生まれ。84年に東京大医学部卒業。東大講師を経て、現在、聖路加国際病院副院長・女性総合診療部部長。生殖医療や内視鏡手術などを専門とする産婦人科専門医。
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