俳優 坂口健太郎さん
映画「劇場版ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」で、会社員の岩本アキオ役を演じた。心の距離が離れた父、暁(吉田鋼太郎さん)との絆をオンラインゲームで取り戻そう、という計画を実行する。実話をもとにした作品だ。
「台本を読んだ時、アキオを応援したくなりましたね。空気を読む力に長けて、大切なことを言えなかったことが、父親との距離につながった。相手を思いやるがゆえに遠慮してしまうことは、実生活でもよく分かるんです」
アキオは自分の正体を隠して、ゲーム上で暁との冒険を進めていく。暁は典型的な仕事人間で、出張ばかりだった。お互い、何を考えているかもわからない関係だったが、ゲームを続けると父の本音が垣間見えるように。面と向かって人と話す機会が少なくなっている時代だからこそ、「文字にすることで伝えられることがあるのでは」と考える。
自身は映画の設定とは違い、親とよく話し、ドライブや買い物にも行く仲だ。「おやじからは、自分の評価は自分でしろ、人の評価で動く人間にはなるなと言われました」。ずっと心に残っている言葉だという。
中高生時代、夢中になったのは部活動のバレーボール。身長が高い方だったからか、顧問の先生から「入った時からレギュラーだぞ」と言われた。ゆるい気持ちで入ったら、夏休みの練習からしごかれた。「入部を後悔した」と、当時を笑って振り返る。
一方で、中高一貫の6年間続けた部活動から得たものも大きかった。きつい練習を我慢し、理不尽だと感じるときもあったが、メンバーと助け合ったからこそ続けられた。「精神的な『体力』がついて、一緒に汗を流した仲間とは今も定期的に会っています」。俳優として活躍する基礎は、このときに形成されたと考えている。
プロフィール
1991年7月11日生まれ、東京都出身。2010年にメンズノンノモデルオーディションに合格し、デビュー。最近のドラマでは「シグナル 長期未解決事件捜査班」や「イノセンス 冤罪弁護士」に出演。映画「劇場版ファイナルファンタジーXIV 光のお父さん」は公開中。(文・猪野元健、写真・倉田貴志)
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