幕末、安中藩(今の群馬県安中市周辺)では藩士の士気を高めようと、藩主がマラソン大会を企画した――。映画「サムライマラソン」はこの史実を元に、イギリス人監督によって製作された時代劇だ。主人公を演じる佐藤健さん、小松菜奈さんらが繰り広げるアクションも見どころの一つ。この作品で、幕府のスパイである主人公の上司役を演じた。「侍をきっかけに、海外の人に日本人の生活や精神などに興味を持ってもらえるといいですね」
俳優業のほかにも、ドキュメンタリー番組でメインパーソナリティーを務めたり、特技のイラストが注目されたりと、幅広く活動している。好奇心にあふれ、インタビュー中も朝日中高生新聞をめくり、「このせっけん、うちにもありますよ」「ラグビーの記事だ。僕も少し調べたことがあって、おもしろいですよね」と話がつきない。
フットワークも軽い。昨年5月には休みを使って、一人でウズベキスタンへ行った。「日本の映画の撮影があると聞いて、出演者でもないけど、気になったので行って見てきました」
一方で、「自分はスペシャルじゃない」と断言する。中高生の時は、どこにでもいるような普通の子どもだったと振り返る。映画やテレビに出る人は、生い立ちが特別だったり、積み上げたものがあったりすると思うかもしれないが、「中高生の今、自分は特別じゃないから何もできない、と考えてしまうのはよくない」。その時におもしろい、やってみたいと思うことをしているうちに今の場所にいた。「だれでも可能性に満ちあふれている。思いがけないところに着地することがあるから、ためらわず、おもしろいと思うものに飛び込んでほしい」
【オススメ!】
最近おもしろかったものは、動画配信サービスで見たドラマ「TRUE DETECTIVE/トゥルー・ディテクティブ」。17年にわたる未解決殺人事件に挑む二人の刑事の話だ。「日本のドラマでもこれくらい作り込めたらいいなと思いました」
【プロフィル】
1980年3月14日生まれ、大阪府出身。2003年、本格的に映画デビュー。近年の出演作にNHKの大河ドラマ「西郷どん」、映画「来る」「かぞくいろ RAILWAYS わたしたちの出発」などがある。出演作「サムライマラソン」は公開中。
(文・小貫友里、撮影・品田裕美)
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