名作の中のお菓子物語「くるみ割り人形とねずみの王さま」
クリスマス、町には光があふれています。この時期になると、チャイコフスキー作曲のバレエ『くるみ割り人形』が各地で上演されます。このバレエの原作は、ホフマンの『くるみ割り人形とねずみの王さま』です。
クリスマスイブ、ドロッセルマイヤーおじさんは、たくさんのプレゼントを持って、シュタールバウム家へやってきました。末っ子のマリーは、おじさんのプレゼントの中から、ぶかっこうな姿の「くるみ割り人形」を見つけました。マリーは、その人形がとても気に入りました。
ところが、お兄さんのフリッツが、かたいクルミを無理やり割ろうとして、人形をこわしてしまったのです。マリーは、こわれた人形を優しく看病してあげました。
その夜のこと。けがをした人形が心配なマリーは、おそくまで広間に残っていました。そこに帰ったはずのドロッセルマイヤーおじさんが現れました。おじさんは「チクタク、チクタク」と鳴る時計をだまらせました。すると、ネズミの王さまとネズミの大群が、マリーとくるみ割り人形の前に現れ……。
クリスマスイブにシュタールバウム家では、クリスマスをお祝いするための砂糖菓子が用意されています。この砂糖菓子は、どんなものだと思いますか? 実は「ドラジェ」というアーモンドを砂糖でくるんだお菓子です。
ドラジェは、ヨーロッパで、古くから結婚式やクリスマスなどのお祝いの日に配られます。日本では「金平糖」がその砂糖菓子にあたります。作り方にちがいはありますが、どちらもお祝いの日のお菓子です。
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ホフマン(1776~1822年) ドイツ生まれ。小説家、作曲家、画家、法律家。幻想的な文学を数多く作るとともに、絵画、音楽にも才能を発揮した。代表作は『黄金の壺』(1814年)、『くるみ割り人形とねずみの王さま』(16年)など。
☆クルミとショウガのパンナコッタ
お話に出てくる「くるみ割り人形」は、木製の直立した人形で、クルミのからを人形のあごにはさんで割る道具です。昔からドイツで作られている伝統工芸品で、このお話によって広く知られるようになったそうです。
クルミとショウガのパンナコッタを作りましょう。パンナコッタは、イタリア語で「生クリームを煮た」という意味です。題名にちなんでクルミを使い、アクセントとしてショウガを加えた冷たいデザートです。
クルミは、栄養価が高い食材です。約6割が脂質ですが、良質なたんぱく質やビタミンEなどを多くふくみ、血液をサラサラにする働きがあります。
また、ショウガには、体を温める働きがありますから、寒いこの時期にぴったり! クリスマスのデザートとしてぜひ作ってくださいね。
〈材 料〉
(200ccグラス4個分)
生クリーム…300cc
牛乳…150cc
砂糖…50グラム
板ゼラチン…10グラム
冷水…板ゼラチンがひたる量
(A)クルミ…60グラム
(A)砂糖…大さじ5
(A)熱湯…大さじ2
(B)水…100cc
(B)ハチミツ…大さじ2
(B)ショウガのしぼり汁…小さじ1
飾り
生クリーム…適量
〈作り方〉
① なべに生クリーム、牛乳、砂糖を入れて火にかけ、砂糖が溶けたら火を止める。冷水でふやかしておいたゼラチンを加えて溶かす。
② 氷水に①のなべ底をあてて、とろみをつけたら、グラスに等分に流し入れ、冷蔵庫で冷やし固める。
③ クルミのキャラメルがけを作る。なべに材料(A)の砂糖を入れて火にかけ、溶けてきたら、なべをゆすりながらこがし、キャラメル色になったら火からおろす。すぐに、熱湯を加えてまぜ、その中にクルミを入れてからめる。
④ クッキングペーパーの上に、③のクルミのつぶを離すように広げ、固める。キャラメルが冷えてしっかり固まったら、大きめにきざんでおく。
⑤ 小なべに(B)の水とハチミツを入れて、ふっとうしたら、ショウガのしぼり汁を加え、火を止め、冷ましておく。
⑥ 生クリームを泡立てて、ホイップクリームを作り、しぼり袋に入れて、②の上にしぼり出す。④を飾り、⑤のショウガシロップをそっと流し入れて仕上げる。
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