空からのたより
5月5日は「こどもの日」。男の子がいるおうちでは、こいのぼりや五月人形をかざってお祝いすることが多いかもしれませんね。私は幼いころ、「子どもは女の子もいるのに、『こどもの日』はどうして男の子のお祭りなのだろう」と疑問に思っていました。みなさんは、同じように思ったことはありませんか?
カレンダーには「こどもの日」と書かれていることが多いですが、5月5日は「端午の節句」とも言います。どうやら、同じ日に二つの名前がついていることに秘密がありそうです。それぞれのちがいをくわしくみていきましょう。
まず端午の節句は、もともとは昔の中国で行われていた厄ばらいの行事が、日本へ伝わってきたものとされています。今から1千年以上も前のことで、当時の日本は奈良時代でした。今でもショウブをうかべたおふろに入る風習が残っていますが、昔からショウブの強い香りには悪いものを追いはらう力があると信じられ、髪かざりにしたり、軒先につるしたりしていたようです。
時代が進んで武士の時代になると、「ショウブ」という音が武道を大切にするという意味の「尚武」と同じで縁起がいいということから、男の子の健やかな成長をお祝いする日になりました。
一方、「こどもの日」は、1948年に制定された祝日です。今から71年前のことなので、端午の節句よりかなり新しいことがわかります。ねらいは「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」こと。つまり「こどもの日」は男女に関係なく、子どもの幸せを願ってお祝いしてよいのです。
「こどもの日」は、思い出に残る一日になるといいですね。五月人形は、男の子の身代わり、よろいやかぶとは体を守ってくれるもの、こいのぼりは出世を願うものと、かざる意味合いはそれぞれちがいます。こうしたことを調べてみるのもいいでしょう。
手作りのこいのぼりをかざったり、かしわもちやちまきを食べながら家族でおしゃべりしたりするのもいいかもしれません。1日から元号が「令和」に改められました。時代は変わりますが、日本の伝統行事をいつまでも大切にしたいですね。
参田佳織(さんだ・かおり)日本気象協会気象予報士 香川県出身。2004年から7年間、ラジオやテレビで気象解説を担当。現在は、新聞のコラムなどを執筆している。
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