『桜木建二が教える 大人にも子どもにも役立つ 2020年教育改革・キソ学力のひみつ』
学習計画や目標設定のサポートこそ、親の役目
清水さんのこれまでの話で、塾の役割や有用性はよくわかった。
とはいえ、子どもの生活のベースになるのはあくまでも家庭だ。「学べる子ども」にするために、親ができるのはどんなことだろうか。
「結果とプロセスの両方を見てあげるように、心がけましょう。親はどうしても試験の点数とか受験の合否など、結果だけを見てしまいがちです。
中学生なら中間試験の結果を手にしながら、この教科が弱い、もっと点数をとれるはずだと言い募り、あとは期末試験の期間まで『ちゃんと勉強しなさい』としか言わないことが多くないでしょうか?
勉強しろという頭ごなしの言葉には、子から漏れなく『いま勉強しようと思ってたのに! あーあ、もうやる気なくなった』というおなじみのフレーズが返ってきてしまうばかりでは(笑)?」
ここはひとつ、具体的に子を導く言動が必要というのだ。
「代わりに勉強してあげることはできませんし、その必要もありませんが、計画を立てて勉強の道へ導いたりする協力はできます。そう、学び方を教えて、習慣づけてあげるのは大人の役割だろうと思います。
やるべきことを明確にして、それを細分化したり、1日にやる分量を見積もってあげたり。
計画を立てるにしても、子どもは『じゃあ毎日、朝5時に起きて勉強する!』などと極端なことを言い出したりしがちです。
それは続けるのが難しいから、こうやって時間をつくったら?と、せっかくのやる気を継続できるかたちに整えてあげることが大切でしょう」
ものごとは決して予定通りになんていかないことも、大人はよく知っているはずだな。
目標を立てるにしても、「チャレンジ目標」「適正目標」「最低ラインの目標」の三本立てにして、転ばぬ先の杖を用意しておくことなんかも、具体的に示してやるべきなんだ。
「自学力」は順を追って身に着けよう
子どもが自律して学べるように仕向けていくのが大切――。そうは言っても、いきなりすべてを丸投げしてはいけないんだ。
獅子は子を千尋の谷に落として育て鍛えるというが、そこに真理があるとすれば、親獅子はちゃんと子が自力で上がってこられる程度の深さの谷を選んで、突き落としているはずだぞ。
「自転車の乗り方を覚えるときと同じです。最初は補助輪をつけておかないとなかなか乗れませんよね。
できるようになったら片方だけ外し、さらに上達したら両方外す。そのあともうしろから支えてあげて乗ってみて、様子を見ながらちょっとずつその手を離してあげる。そうしてようやくひとりで乗れるようになるものです。
みずから学べる『自学力』をつけないと、大学受験には太刀打ちできないし、大学に入ってからも困ってしまうのはたしかです。だからといって、手をかけないで放っておけばいいというものでもありません。自習のしかたを、順を追って教えてあげなければ。
プラスティーではその方策として、授業と自習の間に『管理自習』というものを用意しています。授業が終わったら、その場に残って先生の見えるところで自習をする。
自分でできそうだなとなれば、自習室を使っていいよということになります。自学のしかたを学ぶプロセスは、必要なのです」
清水章弘 1987年、千葉県生まれ。私立海城中学高校、東京大学教育学部を経て、同大学院(教育学研究科)修了。勉強のやり方を教える塾「プラスティー」を東京と京都で運営。著書は『東大生が知っている 努力を結果に結びつける17のルール』(幻冬舎)など多数。最近は、TBS系「教えてもらう前と後」(火曜よる8時~)に出演し、次回は4月9日(火)。1児のお父さん。
* * *
「ドラゴン桜2」 作者は、漫画家・三田紀房さん。中堅校に成長したが、再び落ちぶれつつある龍山高校が舞台。弁護士・桜木建二が生徒たちを東大に合格させるべく、熱血指導するさまを描く。教育関係者らへの取材をもとに、実用的な受験テクニックや勉強法をふんだんに紹介している。雑誌「モーニング」(講談社)や「ドラゴン桜公式メルマガ」で連載中。
ライター・山内宏泰 主な著書に、『ドラゴン桜・桜木建二の東大合格徹底指南』(宝島社)、『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』(星海社新書)、『文学とワイン』(青幻舎)などがある。
外部リンク