空からのたより
6月から7月にかけては、全国的に雨の季節です。梅雨の後半になると梅雨前線の活動が活発になって、西日本を中心に大雨になることがあります。特に九州や中国、四国地方はこれまでに何度も大雨による災害に見まわれてきました。
梅雨のない北海道でも、近年は梅雨前線の影響を受けることが増えてきたので、油断はできません。
突然ですが、防災に関するクイズです。大雨によって災害が起こるおそれがある時、気象庁は「大雨注意報」や「大雨警報」などの防災気象情報を発表します。どれくらい危険かによって注意報、警報と順番に出されるのですが、現在では警報よりもさらに上のレベルの情報があります。それは何でしょうか?
ヒントは、警報の特別版のような名前で、2013年から運用が始まりました。
答えは「特別警報」です。去年の「平成30年7月豪雨」の時に、テレビや新聞で見たことがあるのではないでしょうか。「警報」の発表基準をはるかにこえる状況が予想されたり、実際に発生することが増えたりする中で、最大級の警戒を呼びかけるためにできました。
「大雨特別警報」の場合は、数十年に一度の、これまでに経験したことがないような大雨のおそれがある時に発表されます。出された地域は、重大な災害がすでに発生しているか、とても危険な状況にあるので、ただちに避難情報に従って適切な行動を取らなければなりません。
しかし、特別警報を確認してから避難の準備を始めるのでは、手おくれになる可能性があります。大雨は時間とともに危険度が増していくので、特別警報の前に出される注意報や警報の段階で、どれだけ事前に準備できるか、避難などの行動に移せるかが大切です。
大雨注意報が発表されたら、最新の気象情報に注意して、ハザードマップ(災害予測地図)で避難場所やルートを確認しましょう。気象庁のウェブサイトで見られる「危険度分布」は、どこで土砂災害や浸水害などの危険度が高まっているかを地図上で確認できるので便利です。
大切な命を守るためにさまざまな情報を活用し、早め早めの防災行動を取るように心がけましょう。
参田佳織(さんだ・かおり)日本気象協会気象予報士 香川県出身。2004年から7年間、ラジオやテレビで気象解説を担当。現在は、新聞のコラムなどを執筆している。
外部リンク