調査してガイドライン作成 お茶の水女子大附属高2年生5人(東京)
「女性は○○だ」「男性はこうあるべき」――。そんな性別による役割の固定は、テレビ番組やCMなど、メディアからの影響を受けている可能性があります。東京・お茶の水女子大学附属高校の2年生5人は、メディアでのジェンダー(社会的な性差)の問題を解決するために調査。同世代がメディアに接するときのガイドラインをまとめました。(近藤理恵)
CMで洗濯するのは母親 女性キャスターは短命?
お茶の水女子大学附属高校は、文部科学省のSGH(スーパーグローバルハイスクール)に指定されています。5人はその活動の一環でジェンダーについて学びました。
授業を通して、5人は「女性/男性はこうあるべきだ」という固定概念は、メディアからの影響が大きいと考えました。代表的なメディアであるテレビに着目し、CMとニュース・報道番組について調べました。
CMでは「家事」イコール「女性がすること」というイメージが強いことから、洗濯用洗剤のCMを調査対象に選びました。昨年放送された洗剤のCM24本について、どんな役割の人が洗濯しているかを調べました。
その結果、母親役が洗濯しているCMは10本。父親役が演じているCMはありませんでした。小野田成美さんは「これまでは特に何も思わず見ていたCMに、固定された男女の役割が描かれていたことに気づかされました」と話します。
ニュース・報道番組では、NHKと民放3局について、計30本以上の番組を視聴し、出演者の男女別の平均年齢を調べました。すると、キャスターの平均年齢は、どの局も男性より女性の方が若く、その差は平均13歳とわかりました。
他にも、家事用品や調味料などを販売している大手企業19社にアンケートを送付。CMを作る際にガイドラインがあるかなどをたずねました。回答した10社のうち9社が「男女の役割を押しつけるような広告にしないように配慮している」などとし、企業は視聴者に不快な思いをさせないように気を配っていることがうかがえました。
調査結果について、石田優花さんは「年齢などを数値化することで、何となく思っていたことがはっきり示せてよかった」と話します。
「情報うのみにしないよう」 日本の変化へ同世代に発信
研究した内容は、同世代に向けて、メディアに接する際のガイドラインとしてまとめました。「広告の出演者の性別は何ですか?」「出演者はどのような服装ですか?」など、広告を分析し、考える手立てを具体的に示しています。メディアから受ける情報について、改めて考えることができます。
「若い世代が、CMなどメディアの情報をうのみにせず、『おかしいな』と気づけるようになると、将来、日本も変わるかもしれない」と田口なつみさんは期待します。
日本は、世界経済フォーラムが発表するジェンダーギャップ指数が149カ国中110位で、男女格差の大きい国です。青木希実さんは中学生のころから、それが男女差別だとはっきりと認識しないまでも、男尊女卑の空気を感じていました。「今回学んだことを家族にも話したい。そして、いろいろな人に伝えていきたい」と話します。
栁澤なつみさんは「まだまだジェンダーに関して知らないことがあるので、知識を増やしたい」と意気込みます。
外部リンク