2月初頭、weblio英和・和英辞典で「toxic masculinity」を検索する人が急増しました。
toxicは「有害な」、masculinityは「男らしさ」を意味します。toxic masculinityを訳すなら「毒を含んだ"男らしさ"(という考え方)」といったところでしょう。
toxic masculinityは、男性の行動や考え方について、偏ったイメージを当てはめたり、それに沿わない行動を否定したりすることです。マッチョで体育会系、荒々しくて細かいことを気にしない性格などが、典型的な男らしさに挙げられるかもしれません。そういったイメージに反する人に対して「男のくせに」となじることなどは、toxic masculinityにあたります。
toxic masculinityは、インターネット上では2018年末から2019年2月にかけて国内外で使用が急増し始めました。その背景には、昨年注目を集めた「#MeToo運動」なども無関係ではないでしょう。女性へのセクハラの実態が#MeToo運動で主張される中、toxic masculinityが広める「男らしさ」が女性へのセクハラにつながっているのではないかという議論も起こっていました。
海外では、toxic masculinityの考え方から影響を受け、セクハラだけでなく暴力的な事件に繋がったと分析されているニュースも見られています。「男らしさ」への考え方に注目が集まる中、今年1月には、剃刀のメーカーgilletteの広告動画がtoxic masculinityをテーマとしたことが話題となりました。
一方で、インターネット上ではtoxic feminity(有害な女性らしさ)への注目も高まってきています。「男らしさ」が問題なら、「女らしさ」はどうなのか、という議論が起こっているようです。実は、#metoo運動が盛り上がった時にも、#himtooという男性の権利を主張する対抗的なハッシュタグがトレンドとなっていました。
私たちの心と身体について、「男か女か」というシンプルな区別はもはや難しくなってきています。
「男らしさ」や「女らしさ」といった考え方についても、これまでの典型的なイメージを考え直す機会が私たちにどんどん訪れるようになるかもしれません。
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