かかっている小学生の割合が過去最高
文部科学省の学校保健統計調査によると、鼻や耳に疾患(病気)がある小学生の割合が過去最高になっています。どうして増えているのでしょう。また、どうすれば悪化を防げるのでしょうか。有明こどもクリニック(東京都)の理事長、小暮裕之さんに聞きました。(小勝千尋)
文部科学省のまとめでは、小学生は、鼻や鼻の周りにある空洞「副鼻腔」に疾患のある人が13・04%(20年前と比べ2・86ポイント増)、耳に疾患のある人が6・47%(20年前と比べて2・82ポイント増)で過去最高でした。
小暮さんは、「子どもを診察していると、鼻の疾患はアレルギー性鼻炎が多いです」と話します。
アレルギー性鼻炎とは、花粉やダニ、ほこり、ペットなどが原因で鼻炎になる疾患です。増加の原因としては、「食べ物など生活がアメリカやヨーロッパ式になったから」「生活環境が清潔できれいになったから」などさまざまな説があるといいます。「ほかにも遺伝などの説もあり、原因は一つにはしぼれないと思います。いろいろな変化が合わさって増えているのではないでしょうか」
アレルギー性鼻炎が多い
すでにアレルギー性鼻炎になっている人もいることでしょう。悪化を防ぐには、マスクをしたり、そうじをこまめにしたりと、なるべくアレルギーを引き起こす物質を体内に入れないようにすることが大切だといいます。薬を使って症状をやわらげることもできます。
治療法の一つに、舌の下にアレルギーを引き起こす物質を定期的に入れて、体を慣れさせる方法があります。舌下免疫療法といいます。「1年治療をするだけで、症状はかなり楽になります。また発症することを防ぐためには、3年くらい続けるといいでしょう」
耳あかをためないように
一方、「耳の疾患」とされた中で多いのは、「耳あか(のたまりすぎ)」によるものだそうです。耳そうじをしないでいると、聞こえにくくなったり、耳垢栓塞や外耳炎などの病気につながったりします。しかし、事故や病気の原因にもなりうるため、しすぎるのもよくありません。「爪を切るのと同じくらいの頻度か、それよりもやや少なくてもいいので、耳そうじはしたほうがよいですね」と小暮さんは話します。
視力が低い子の割合も高まる
視力が低い子の割合も高くなっています。めがねなどをかけない状態での視力が1・0未満の人の割合は34・10%で、4年連続で過去最高を更新しました。20年前と比べると、7・76ポイント増です。中学生で56・04%、高校生で67・09%と、年齢が上がるにつれて増えています。
文部科学省は、長い時間、スマートフォンやゲーム機を近くで見続ける生活習慣の影響が出たとみています。眼科で早く検診を受けることをすすめるほか、ゲームなどをする際は、時間を決めて遊ぶようになどと呼びかけています。
【学校保健統計調査】
文部科学省が毎年発表している、全国の幼稚園や学校などに通う、5~17歳の子どもの健康診断の結果を集計したものです。子どもたちの発育や健康の状態を明らかにするために行われています。去年12月に2018年度の調査結果が発表されました。
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