夏が近づいています。アウトドアを満喫できる季節ですが、暑さが増し、急激な天気の変化にも注意が必要です。暑さと隣り合わせの熱中症対策を紹介します。(小勝千尋)
「暑さ指数」で熱中症の危険度測る
全国で9万5137人。昨年5~9月に熱中症で救急車で運ばれた人数です。熱中症は、気温と湿度が高い環境に体が慣れることができないときに起こります。めまいや体温の上昇、頭痛、筋肉のけいれん、吐き気、意識の異常など、さまざまな症状が出ます。
日本気象協会は、熱中症になる人を減らし、亡くなる人をゼロにする運動「熱中症ゼロへ」プロジェクトを2013年から進めています。5月14日、埼玉県熊谷市立奈良中学校の1年生を対象に、日本気象協会の気象予報士、久保智子さんが熱中症についての授業をしました。
熊谷市では昨年、国内の観測史上最高となる41・1度を記録。全国的にも暑い夏となりました。気象庁によると、今年の夏の気温は、沖縄県や奄美地方で平年並みか高いほかは、ほぼ平年並みの予想です。ただし「気温が高くないから熱中症になりにくいわけではない」といいます。
熱中症の危険度を表す目安に「暑さ指数(WBGT)」があります。気温や湿度、地面や建物、体から出る「輻射熱」から計算します。影響の割合は、気温が1割、湿度が7割、輻射熱が2割。「今年の夏は、降水量が平年並みか多い予想です。湿度が高くなるので暑さ指数も高くなり、注意が必要です」
この指数を測ることができるのが、黒球付熱中症計です。気温と湿度をセンサーで、輻射熱を黒い球体で計測します。数字で出る暑さ指数に基づき、「ほぼ安全」から「危険」までの5段階で、熱中症の危険性を示します。暑さ指数は環境省熱中症予防情報サイトでも確認できます。
熱中症防ぐには…日差しを避け、水分補給
「熱や日差しから身を守り、のどが乾く前に水分をとることが大切」と久保さん。
涼しい服を着ること、こまめに休憩して睡眠や食事をしっかりとることも予防につながるといいます。
熱中症になったときの応急処置は、次の通りです。
①クーラーがきいた室内や風通しのいい日陰など、涼しい場所へ移す
②服を脱がし、首や脇、足の付け根などを冷やして体温を下げる
③スポーツドリンクなどで塩分や水分を補給する
吐いたり、意識がなかったりする場合は、無理に水分はとらせないほうがいいそうです。症状が良くならない場合は、救急車を呼ぶなどして医療機関へ。
「7~18歳の人が熱中症になりやすいのは運動中」と久保さん。授業や部活動などの時間は注意が必要です。
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