あなたに手紙を書きます。調子の出ないあなたに手紙を書きます。
少し前、私はスランプ(不調)におちいりました。体調をこわした後、何も書けなくなりました。仕事もつまらない。食欲もない。体を動かすのがだるくて、布団の中にずっといました。悪い夢をたくさん見て、寝ている割には睡眠不足で、ひどい状態が続きました。
そんな私を救ってくれたのは、海と空でした。仕事で訪れた静岡県焼津市。空気に磯の香りがしました。樹木のにおいもしました。空はどこまでも青く、海はさまざまに色を変えながら、白波を作っていました。遠くに富士山が見えました。そんな環境に自分を置いてみると、あら、不思議。体が、軽い。ご飯もおいしい。昨日までの自分がうそのように、周囲の人と元気にしゃべっていたのです。
スランプの薬は「自然」でした。潮騒を聞きながら深い眠りにつきました。温泉から朝日がのぼる瞬間をながめ、体中に日を浴びました。そんなことをしているうちに、心も体も軽くなっていったのです。
この季節は、体がだるくなるものです。新しい環境に慣れてくると、疲れが出てきます。そんな時は、無理をしてでも戸外に出よう。日を浴びて、花をながめ、空の広さを感じてみましょう。
今、私はできる限り外を歩くようにしています。神社のような、自然の多い場所を歩くようにしています。調子の出ないあなた、外に出よう!
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ひきた・よしあき 博報堂のスピーチライター、博報財団コミュニケーション コンサルタント。
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