Appleの発表が間近とされる小型で低価格のiPhone新機種と、今秋発売されると見られているiPhone 12だが、新型コロナウイルス「COVID-19」の影響で、どうやら明確な見通しが立っていないようだ。
(参考:iPhone 9(SE2)は約44,000円で販売か? Apple中国工場の再開はまだ不透明)
『9To5Mac』は、TF International Securitiesの著名アナリストであるミンチー・クオ氏が行なった、新たな報告を紹介している(参考:https://9to5mac.com/2020/02/09/iphone-9-coronavirus-kuo-prediction/)。
AppleがiPhoneの製造を委託している、中国にある鴻海精密工業(フォックスコン・テクノロジー・グループ)とペガトロン・コーポレーションの工場の操業再開が、新型コロナウイルス「COVID-19」の影響で更に遅れていることが明らかにされた。
製造の遅れがこのまま続けば、iPhone 9あるいはiPhone SE2と呼ばれることが予想される、小型の新機種の発売日は、遅れることが不可避になるだろう。
フォックスコン・テクノロジー・グループは、当局からの指示を待っているとし、顧客から生産を早く再開すべきだというリクエストは、受け取っていないとしている。
遅れが2週間に及べば、生産に大きな影響を与える可能性があり、Appleにとって打撃だ。しかしAppleは「最優先事項は、中国全土のチーム、サプライヤーパートナー、顧客の幸福だ」としている。
iPhone 9は、元々、2020年3月に発売されるのではないかと見られていたが、いつ発売するかといった正式発表は、まだ行なわれていない。
販売価格は2016年にiPhone SEが発売された時と同じ399米ドル(約4万4千円)になると言われている。
高性能カメラを搭載した超ポータブルな携帯で、エントリーレベルのiPhone 11(64GB)よりも300米ドル(約3万3千円)安い。サイズについては、iPhone SEの4インチより一回り大きい4.9インチになるという。
・徐々に工場閉鎖は解除へ?
一方、『CNBC』は2月10日、徐々に工場の閉鎖が解かれていくと伝えている(参考:https://www.cnbc.com/2020/02/10/coronavirus-leaves-status-of-apple-manufacturing-in-china-uncertain.html)。
匿名の情報筋の話として、「iPhoneを製造するフォックスコン・テクノロジー・グループの工場の閉鎖を解除することが承認された」という情報がある。しかし、今のところ、約16,000人の労働力の10%しか確保できないという。
このことについて、フォックスコン・テクノロジー・グループは次のように声明を発表している。
「従業員の健康は最優先事項です。コロナウイルスに関連する課題を注視しています。安全・衛生対策は、行政機関の取り組みに沿って実施されています。中国の各施設のチームは、それぞれの地方行政機関と緊密に協力し、生産スケジュールを進めています。商業的な理由により、特定の生産についてコメントできません」
・台湾で生産しリスク分散?
どちらにしても、中国では当初の予定通りに生産は進んでいないことが予想される。『DIGITIMES』は、Appleが2020年のiPhone生産を、台湾の組み立て工場に発注し、リスクを分散させることを検討していると伝えている(参考:https://www.digitimes.com/news/a20200212PD204.html)。
Appleは、生産が遅れている状況でも、次世代のiPhoneを予定通り発表する可能性があるという。小型で手頃なスマホが欲しいという人にとっては、iPhoneを待つべきか、あるいは他の携帯機種を選ぶべきか、悩ましいところだ。
(Nagata Tombo)
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