劇団四季 岡村美南さん
「キャッツ」「ウェストサイド物語」「ウィキッド」などで大きな役を演じてきた岡村さん。現在、横浜で公演中の「パリのアメリカ人」では、バレエ団を支援する裕福な女性、マイロを演じます。若い芸術家たちの恋と成長がえがかれる作品。マイロは「エレガントで色気があり、自信がある女性なのですが、実は弱さやゆがみもあります。とても人間らしくて、大好きです」と、ほれこんでいる役です。
俳優にとって何より大事な物は台本です。物語として読み直せるよう、岡村さんはあまり書きこまず、課題はノートに書きます。
せりふは「母音法」ですべて書き出して覚えます。たとえば「あなた」なら「anata」の母音だけをとらえる、劇団四季独自の手法で、観客に日本語がはっきり届きます。岡村さんの場合、もともと早口なので、常に「母音を長めに」と意識しています。
団員は毎日、バレエのバーレッスン、呼吸法、発声と、同じ基礎練習をします。「毎日くり返すことで、新しい発見があるんです」
心と役がぴったり合う幸せ
けいこで演出家から俳優へ「もうちょっとおこったように」などと「ダメ」が出されます。なぜそう表現するのか、演出家と俳優が意見を伝え合い、みんなで一つの作品を作ります。
岡村さんの場合、頭でわかっていても、体で表現できない期間が必ずあり、「苦しいし、はずかしい」といいます。居残り練習をして、課題を一つひとつクリアする中で役をつかんでいきます。
お客さんの拍手はもちろんですが、ときどき訪れる「自分の心と役がぴったり合った感覚」が、一番の幸せです。
岡村さんのあゆみ
おどることも歌うことも好きだった中学2年の時に、劇団四季のミュージカル「夢から醒めた夢」を見て感動し、舞台俳優をめざしました。高校でクラシック音楽の基礎を学び、大学はアメリカ留学。歌や演技を学ぶだけでなく、さまざまな人種、国の人と出会い「どういう心で世界を見るかで、世界の見え方が変わるんだ」と感じたことが、俳優として役を理解するためにも役立っています。
劇団四季に入団2年目で「ウィキッド」の主役をつかみました。以来、生命力あふれる強い女性をよく演じていますが「いろんな役に挑戦したい」という思いは、10年目の今も変わりません。
3歳 モダンダンスを始める
中学2年 劇団四季の「夢から醒めた夢」を見て感動し、舞台俳優を志す
高校3年 富山県立呉羽高校音楽コースからアメリカ留学をめざす
大学4年 オクラホマシティ大学に在学中、劇団四季のオーディションに合格
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