『桜木建二が教える 大人にも子どもにも役立つ 2020年教育改革・キソ学力のひみつ』
求められているのは英語の四技能
2020年からの教育改革が話題に上るとき、最も大きな変化が訪れるものとして心配の的になるのが英語だな。
現状の大学入試は「読み」「書き」の力が主に問われているが、くわえて「聴く」「話す」も重視し、これら四技能をバランスよく身につけていることが求められるというのだ。
となると、「いっそう英語に力を入れなければ」「少しでも早く英語学習をスタートさせるべきでは?」という気持ちにさせられるな。
実際には、どう対策をしたらいいのか。
そのあたりを教えてもらうのにぴったりなのが、オンライン予備校「スタディサプリ」の講師として、年間50万人近い中高生に英語を教える関正生先生だ。
英語学習は読解力と論理力が育ってから始めるべし
英語教育におけるプロ中のプロに方策を尋ねてみると、答えは明快だったぞ。
まず、受験という観点から見れば、「人より早い英語学習のスタートはとくに必須ではない」というんだ。
「というのは、効果に疑問があるからです。あくまで体感的な話ですが、早期英語教育を受けた子たちが、そのまま受験を突破できるレベルまで伸び切る例というのは、あまりにも少ない気がします。
なぜそうなるのか。まず、早い時期に英語を始めると、受験までの月日が長すぎてしまい、意欲が保てないのです。
それに受験はどの教科でも、トータルの能力が求められます。英語に時間を割くあまり、他のことに時間を使えなくなるという単純な問題もあります。
予備校で数えきれないほど多くの生徒を見てきた経験に照らしても、『この子はすごく英語ができるな』と思わせる人で、早期英語教育を受けていた例はかなり少ないです。
たしかに早いうちから英語を習えば、ほんの4、5歳の子だって、いくつかの単語と決まり文句を使って英語が話せるようにはなります。
ですがそれはちょっとした『まねごと』のようなもの。受験に直結しないのはもちろんのこと、本物の英語力とも言いがたい。
早期教育を否定はしませんが、『うちの子、もう英語をしゃべれるんです』と親が自慢したいがために、子どもを利用している面はないでしょうか。いまいちど自分の心に問いかけてみたいところです」
なるほど、つい「頭の柔らかい幼少期から英語に触れさせておいたほうが……」などと思ってしまうが、それが正解とも言えないということなのだな。
では英語の勉強は、はたしていつから取り組むのがいいか。次回、ズバリ教えてもらうぞ。
関正生 1975年7月3日、東京都生まれ。スタディサプリ・英語講師。埼玉県立浦和高校、慶應義塾大学文学部(英米文学)を経て、塾講師に。TOEICⓇL&Rテスト990点満点取得。英語参考書や語学書の執筆も手がけ、著書は、『子どもの英語力は家で伸ばす』(かんき出版)など70冊以上にのぼる。モットーは「英語に丸暗記はいらない」。
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「ドラゴン桜2」 作者は、漫画家・三田紀房さん。中堅校に成長したが、再び落ちぶれつつある龍山高校が舞台。弁護士・桜木建二が生徒たちを東大に合格させるべく、熱血指導するさまを描く。教育関係者らへの取材をもとに、実用的な受験テクニックや勉強法をふんだんに紹介している。雑誌「モーニング」(講談社)や「ドラゴン桜公式メルマガ」で連載中。
ライター・山内宏泰 主な著書に、『ドラゴン桜・桜木建二の東大合格徹底指南』(宝島社)、『上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史』(星海社新書)、『文学とワイン』(青幻舎)などがある。
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