2020年度の中学入試に向けて、それぞれの学校の募集状況がほぼかたまりました。「算数1科目(教科)」による入試の導入をはじめ、いろいろな動きがみられます。
(大島淳一)
算数1科など実施、科目選択の幅に広がり
2020年度に算数による1科目だけの入試をとり入れるのが湘南白百合学園(2月1日の午後)や、田園調布学園中等部(2月1日の午後)などです。これらのほかにも同じような入試を実施するのが栄東。首都圏の中学入試(一般入試)が実質的にスタートする1月10日の入試回を中心に例年、多くの受験生が出願する学校の一つです。
変更されるのは、東大特待クラス(東大Ⅰ)です。19年度は4教科型(国語・算数・社会・理科)だけの入試でしたが、20年度は4教科型にくわえて算数1教科型も実施。計30人の募集で、受験生はどちらかの型を選択します。算数1教科型は算数①(150点・50分)と算数②(150点・50分)で構成され、算数②は4教科型の算数と共通の問題だといいます。
19年度は東大クラス(東大Ⅱ)の入試が4教科型と算数1教科型からの選択式でしたが、20年度は東大Ⅰ、東大Ⅱともに算数1教科型による入試を選べることに。また、難関大クラス(A日程)→東大Ⅰ→難関大クラス(B日程)→東大Ⅱの順だった日程もかわり、A日程(1月10日)→東大Ⅰ(1月11日)→東大Ⅱ(1月16日)→B日程(1月18日)といった流れになります。
桐蔭学園中等教育学校は午後入試の実施日を19年度の2月2日から2月1日に変更。科目も見直して2科目入試(国語・算数か英語・算数のいずれか)または算数選抜入試になります。
算数選抜入試について、学校のウェブサイトには「算数における総合的な思考力を問う」「記述式で解答する問題を出題」とあり、時間は70分。募集は男女別になり、2月1日の午後入試は男子40人、女子30人です。
新たに算数・理科による算理入試を実施するのが玉川学園中学部です。一般入試の第1回(2月1日の午前)と第3回(2月2日の午前)は、2科目か4科目かを選択するタイプ。2科目の試験について国算入試、英語型入試(英語・国語または英語・算数)にくわえて算理入試をとり入れ、これらのなかから選ぶといいます。第1回と第2回(国語・算数の2科目/2月1日の午後)の募集定員は65人、第3回と第4回(国語・算数の2科目/2月2日の午後)の募集定員は45人です。
また、啓明学園は算数特待入試を新設。2月1日の午後におこない、時間は45分。男子と女子をあわせて10人を募集します。
英検利用の入試も
首都圏ではここ数年、英語を入試科目にとり入れる学校が増えつつあり、20年度も同じような傾向がみられます。その一例が三輪田学園。2月2日に実施する第2回午前Bで、2科目(国語・算数)と英検の級(スコア)によって評価する入試をおこない、10人を募集します。
国語・算数の得点が高いほうと、英検の級による「みなし点」を合計。英検4級(かつCSEスコア=英検の成績をユニバーサルな尺度ではかる指標で1000点以上)で80点、3級で90点、準2級以上で100点といった具合です。対象となる英検の級は17年第1回(6月)以降に取得したものにかぎります。
20年度からの大学入試改革で、より重視される思考力や表現力を視野に入れた入試を実施する学校も増加。来春の入試で新設する学校の一つが清泉女学院で、2月5日の午前にアカデミックポテンシャル入試をとり入れます。募集定員は10人。深い「学び」に対する受験生の潜在的な力や可能性をみるという位置づけの入試のようです。
学校のウェブサイトにはサンプル問題があり、全体をつらぬくテーマとして「共生」を設定。「川崎市にすむ外国人の国籍」「日本における外国人労働者数の変化」をあらわす図表や、介護の仕事にたずさわる外国人労働者を紹介する新聞記事など、さまざまな資料ももり込まれています。出題例として「外国人と共生していくために今後、必要になると思うことを二つ以上の資料を参考にして200字以上、300字以内で記述」という問題を提示。解答例には「資料を参考にしながらも、自分の力で必要な部分をまとめ、それぞれの資料をつなぎあわせて、自分のことばで説明できるように」と、注意点も示されています。
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