オプチャを役場的存在に!?村民と自治体を巻き込む新たな取り組みと可能性(後編)

地域内外から3,000人以上(2024.1月時点)が参加している、観光客向けのオープンチャット『THEDAY.HAKUBA🦄 白馬バレーの「今」が分かる!情報メディア』※。開設から2カ月間で800人を集め、白馬観光をけん引する管理者・佐藤さんのスペシャルインタビュー・後編をお届けします。

前編はこちら▶︎オプチャで観光客をおもてなし!1年半で2,800人集めた管理者が語る運用術

※こちらのオープンチャットは2024年3月末で運営を終了しました。

 
 
参加者とつくるオープンチャットならではの温かい雰囲気

――オープンチャットを開設して良かったと思うエピソードはありますか?

いくつかあるんですけど、1年ぐらい前に白馬村で犬が逃げちゃって、オープンチャットに迷子犬として投稿されました。観光客向けの話題ではなかったので消そうか迷ったんですけど、困っている人は助けないとっていうことで残した結果、その犬が見つかったんですね。そしたら、オープンチャットがすごい盛り上がったんですよ。何、この温かさと思って(笑)そこから一気に、オープンチャットの口コミが広がったみたいで、白馬村では『迷子犬が出たら、あのオープンチャットに投稿せよ』みたいになっています。

あともう一つは、ご年配の方から『これから人生最後の白馬村に行ってきます』みたいな投稿があったんですよね。よくよく聞くと、若いころからの思い出がたくさん白馬村にあったみたいで。『気を付けて』とか『最後の白馬村を楽しんで』みたいな温かい言葉がたくさん投稿されました。スキー場で滑ってる写真とか動画がアップされるたびに盛り上がって、最後だからみんな見届けてるんですよね。

いよいよ帰る日がやってきて。そうすると、みんなのボルテージも超アップして、いいねのリアクションとかがめっちゃ増えるんですよ。で、その方の最後の投稿でみんな驚愕したんですけど、『白馬村が楽し過ぎて、また来ます』って。結局、人生最後じゃなかったっていうとこで(笑)そのときにオープンチャットならではの温かさを改めて感じました。

――まさかの展開ですが、素敵なエピソードですね(笑)逆に運用していて大変だったことはありますか?

うーん。結構細かいのはたくさんあるんですけど。例えば、参加している方に自分の宣伝を長文で連発されると困りますね。このオープンチャットではルールをわざと設けてないんですね。なのでその分、管理が大変です。

あとは、友だちが開設したオープンチャットを見てると分かるんですけど、だいたい失速してっちゃうんですよね。最初は毎日投稿してたのに、参加者からのリアクションがないから、途中で諦めて投稿しなくなっちゃう。それでも、毎日淡々にニュースを発信する、話題を出し続けるっていうのが結構大切だと思います。その点では、僕は1つの質問から広げるのが得意ですね。例えば1個質問が来たら、その場で答えるだけじゃなくて、まとめを作ったりします。まとめたら今度は『これに追加があったらコメントください』って呼びかけて、それを繰り返すと1回の質問で話題が5個、6個つくれます。

――オープンチャットは見る専門の方も多いので気にしすぎないのも大切なのかもしれませんね。ちなみに、ルールを設けていないのはなぜですか?

ルールを設けると、投稿が限定的になっちゃうかなと思ったんですよね。他のオープンチャットは、ルールを設けているところが多いと思うんですけど、性善説にのっとって運用したいなっていう。悩ましいところですが、自分みたいにまめに管理をやる場合はいいんですけど、普通にやる場合、ルールは必要かもしれないですね。

自治体も巻き込むオープンチャットを使った新たな取り組み

――自治体がオープンチャットを開設してくださることも多いのですが、佐藤さんが自治体と行っている取り組みはありますか?

オープンチャットで観光客と地域の方を巻き込んだごみ拾いを企画しています。観光地によくある問題で、ごみが散乱しちゃうんですよね。前回はオープンチャットで呼びかけて40人くらいが参加してくれて。今後も白馬村の行政とこのオープンチャットで、一緒に取り組みをしていくことが決まっています。

(オープンチャットで参加を呼びかけ、成果も報告している)

あとは、白馬村民・移住検討者向けの「白馬村で暮らす【求人、賃貸、移住】」というオープンチャットも運用しているんですが、それを使って役場と連携したイベントもやっていきたいなと思っています。

――新たな取り組みといえば、オープンチャットのライブトーク機能も積極的に使っていただいていますが、どう活用しているのか教えてもらえますか?

ライブトークでは、地域の方にゲストで出てもらって、『こんな取り組み、活動をしてるよ』っていうのを観光客の方向けに発信しています。白馬村って面白い取り組みをしてる方が多いし、小さい村なのでだいたいすれ違うんですよね。その時に『ゲストどうですか』って言うと、オープンチャットに入ってくれているのでそのまま出ていただけます。この間は、JR白馬駅の駅長さんがゲストだったんですが、駅長の声を聞くって観光客の方はなかなかできないじゃないですか。テキストよりも音声のほうが、人柄もより伝わりやすかったりしていいですよね。

(毎週水曜日にライブトークを開催、事前にタイムスケジュール付きで告知している)

 
オープンチャットで観光客と地域をつなぎ、役場的な機能を持たせたい

――最後に、運用しているオープンチャットを今後どのようなコミュニティにしていきたいか教えてください。

白馬村を訪れる観光客の方が、さらに旅を楽しくするためのツールになればいいなと思います。地域の方とつながって、その人に会いに行きたくなってもらえたら最高です。それと同時に、ごみ拾いみたいな観光業の地域課題にも行政と取り組んで解決していきたいです。最終的には、(オンラインの)役場をつくりたいんですよね。今のオープンチャットはもう観光局のような役割になっていますが、ここから移住関係や地域課題も解決できるような、役場的な機能をこのオープンチャットが持つことを目指しています。

佐藤さんに、『オープンチャット見ました』と言うともらえるステッカー。白馬村で佐藤さんに会ったらぜひ声を掛けてみてください)

■インタビュー後編まとめ

・迷子犬探しや観光客を応援!オープンチャットならではの温かい空気感

 

・管理者が苦労する参加者のノーリアクション、大切なのは話題を出し続けて広げること

 

・オープンチャットで自治体を巻き込んだごみ拾い企画などを実現!役場的な機能を持ったコミュニティづくりに挑戦中

※内容は2023年9月のインタビュー当時のものです。