滋賀県の県立高校で、水泳の授業を見学する女子生徒に生理の日数を聞いていたことがわかりました。ツイッターなどのSNS上でも、月経(生理)中でもプールの授業に強制的に参加させられたといった経験をつづる投稿があります。月経中の女子生徒のプールに関する問題を考えます。(近藤理恵)
人権侵害の可能性も 女性の先生に相談して
弁護士で現役の高校教諭の神内聡さんは「報道の情報だけなので、詳しい事実関係はわからない」と前置きした上で、「みんながいる前で、口頭で報告させていた場合、人権侵害に当たる可能性がある」と話します。
「体育の場合、実技を欠席してしまうと、成績がつけられない。正当な理由が必要なので、先生は聞いたのだと思いますが、ほかの手段もあったのでは。水泳の授業をする以上、想定できることなのに、対策を考えていなかったと思えてしまいます」
学校側には、未成年者の安全や体調を管理する義務があります。詳しい理由を聞くことは仕方がない場合もありますが、「例えば会社では、女性社員が生理痛などで休む場合、『体調不良』として上司に報告するでしょう。
個人的な意見として、学校でも『体調不良』と報告させればいいと思います」と神内先生。ただ、生徒がうそをついて休むことがないよう、「保護者から連絡させるなどの方法を決めてもいいのでは」。
そもそも、プールの授業で、月経中の女子生徒への対応に決まりはあるのでしょうか。文部科学省が出している「水泳指導の手引(三訂版)」には、月経中の指導などの記述はありません。一方で、1965年に作成された手引きには「水泳不適当」の事例として、「女子の生理中のもの」と挙げられています。
86年、93年、2004年の手引きでは「月経中の水泳指導については、全面的な禁止ではなく、心理的要素等も含めて諸症状によって適否を判断することが必要である」と書かれているだけです。
スポーツ庁の担当者によると、先月26日と27日に開かれた全国の教育委員会の体育担当者が集まる場で、月経中の女子生徒への不適切な指導が話題に上りました。水泳の授業について改めて検討するよう、口頭で注意喚起があったといいます。
今、月経中のプールの授業で悩んでいる人はどうすれば良いのでしょうか。「まずは学校の女性の先生に相談してみてください。それでも改善しない場合は、教育委員会に相談する手もあります」と神内先生は話しています。
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