「AI(人工知能)によって、子どもたちの将来の仕事が変わる?」など、AIという言葉をよく耳にします。AIによって、私たちの生活はどう変わるのでしょうか。日本学術振興会顧問で、内閣府のAI戦略実行会議座長を務める安西祐一郎さんに聞きました。
Q 人工知能(AI)って?
A 人の知的な機能にかわる「ソフトウェア」や「ハードウェア」の総称です。明確な定義はなく、人間のように物事を考えられる高度なものも、人間が与えた知識に沿ってのみ動くものもAIと呼ばれます。
人間の知的機能は奥が深く、今のAIとは大きな差があります。例えば会話をするとき、人間は言語処理だけでなく、体の動きや相手の気持ちを考えるなど、たくさんの情報を並行して処理しています。人間の五感が扱う情報量は膨大で、今の技術はとても追いついていません。コンピューターの性能向上やネットの環境の整備が必要となるでしょう。
Q 2045年、AIの知能が人間を超える「シンギュラリティー」が来ると言われます。可能性はありますか?
A まずそういうことはないだろうと考えています。AIの方が優れている部分もあるでしょうが、コミュニケーションに関わる職業は、ますます必要になると思います。
こんなに楽しい時代はありません
どの職業が残るかよりも、仕事の質が変わり、よりコミュニケーションが重要になるでしょう。例えば学校では、教科書の内容をそのまま教えることはAIができるかもしれません。その場合、先生の役割としては、一人ひとりの子どもと向き合い、支えることが求められると思います。
Q AIは怖いものですか。
A AIが人を傷つけたり、兵器に利用されたりという話もあります。そういう恐怖は、AIを理解しない大人の影響という気がします。
AIが今までの技術と異なるのは、思ってもみないことが起こる可能性がある点です。しかし、プログラムの中身がわかれば、コントロールの仕方にも思いが及びます。中高生のみなさんには一度、プログラミングに触れることをおすすめします。
2020年度から大学入試が大きく変わります。答えのない問題に挑戦する機会が増え、学び方も変わります。社会も、定年まで雇い続ける「終身雇用」や、勤めた年数や年齢に応じて給料も上がる「年功序列」という仕組みが崩れ、早いうちから自分のやりたい勉強や仕事を考え、自分の道を作ることが求められます。
自分の目標を持って進めるなら、こんなに楽しい時代はありません。責任は増しますが、一生懸命、自分の人生を作っていけば、幸せになれると思います。
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