小学生の8割が外遊びをしていないという調査結果を7月25日付の朝日小学生新聞で紹介しました(LINEニュースでは7月26日に配信)。記事の中で、外遊びについての困りごとや、たくさん外遊びができるようにするためのアイデアを募ったところ、多くの反響がありました。
調査を行った千葉大学大学院博士課程の寺田光成さんの解説を交えて紹介します。取り組み次第では、遊ぶ場所や機会を増やすこともできるかもしれませんよ。(八木みどり)
「ボール遊び禁止」は圧力?
まんがやアニメでは、公園や空き地で子どもたちが野球やサッカーをする光景がたびたびえがかれます。しかし、「学区内にボール遊びができる公園がありません。遊べるように、もっと高いネットにしてほしいです」(4年女子)といった声のように、ボール遊びがしたくてもできない人も多いようです。
寺田さんたちが調べたところ、全国の半数以上の自治体で、公園でのボール遊びが禁止されていることがわかりました。
禁止にした時期やその理由については「わからない」という自治体が多いそうですが、1970年代からボール遊びを禁止している公園もあるといいます。
寺田さんは「ボール遊びを禁止する公園が増えたというよりも、禁止すべき、という社会的な圧力が増したということでは」と推測します。
禁止の一方で、「条件つきでみとめていく方針を示した自治体もありますよ」と寺田さん。高いネットで囲ってボール遊びができる場所を整備したり、見守りの大人を配置して、ボール遊びもみとめたりする地域もあります。
マップ作り、記念日…大人を巻きこむ取り組みを
外遊びをうながすために、「地域の人と外遊びマップを作ってみる。自分の知らない地域の遊び場や遊び方を教えてもらいたい」(6年女子)というアイデアも寄せられました。
世代ごとに、当時の地図に子どもたちがどんな場所で、どんな遊びをしていたのかを記す「三世代遊び場マップ」作りに取り組んだ地域もあります。
寺田さんは「おじいさんやおばあさんに話を聞いてみると、『遊び場』に対する考え方のちがいに気づくはずです。『こんなところも遊び場になるんだ』という発見がきっとありますよ」。
「『外遊びの日』という祝日をつくって、その日は外で思いっきり遊べるといいと思う」(5年女子)という意見もありました。
「国民の祝日にするのはハードルが高いですが、『プレイデー(遊びの日)』ならありますよ」と寺田さん。
東京都内では、子どもの「遊び」に関わる団体などの呼びかけで、毎年10月1日を「とうきょうプレイデー」とするキャンペーンを展開しています。遊びの大切さについて考えてもらおうと、この日を中心に、各地でイベントが開催されます。
東京都以外に住む人にも、「地域でプレーパークの運営にたずさわっている団体などに、プレイデーをつくるよう、子どもであるみなさんが呼びかけてみてはどうでしょうか」と寺田さんは提案します。「大人をいかに巻きこんでいくかが大切です」
【外遊びの調査】
寺田さんが中心となり、2016~18年に千葉市、宮城県気仙沼市、福島県石川町と、群馬県の片品村、みなかみ町の計5市町村で調査しました。2986人が回答しました。
その結果、平日に屋外で遊ぶ日が「0日」と答えたのは、都市部の千葉市で78%、農村が広がるみなかみ町でも60%。全体では76%に上りました。都市部に限らず、農村部でも外遊びをしない子が増えていることがわかりました。
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