宇宙航空研究開発機構(JAXA)と香川大医学部が、国際宇宙ステーションで飼育したマウスを使い、重力のほとんどない状態が皮膚に与える影響を調べる共同研究に乗り出す。香川大の担当は医学部の西山成(あきら)教授(薬理学)。宇宙飛行士の皮膚がむくむ現象に着目し、メカニズムを解明することで、老化の予防や新たな病気の治療法開発などにつなげたい考えだ。同大医学部がJAXAと共同研究するのは初めて。
JAXAは、2016年夏に国際宇宙ステーションの日本実験棟「きぼう」で飼育したマウスを使った研究テーマを昨年初めて募集。西山教授は、わずかな重力が皮膚機能に与える影響に関する研究を提案し、全国で採択された6件の一つに選ばれた。同大医学部は今年2月、JAXAと共同研究の契約を結んだ。
西山教授によると、宇宙空間で宇宙飛行士の皮膚がむくむ現象が確認されているが、そのメカニズムは分かっていないという。
研究では、JAXAから提供された宇宙空間で飼育したマウスと、地上の無重力状態で飼育したマウス、地上で普通に飼育したマウスの3種類を比較。それぞれの皮膚に含まれ、体の水分保持や代謝に影響を与えるとされるナトリウムイオンなど金属元素の働きや構成を解析するなどして、微小重力が皮膚機能に与える影響を調査する。研究期間は約2年の見通し。
西山教授は「微小重力で皮膚がむくむメカニズムが分かれば、新たな病気の治療法開発にもつながる可能性がある」としている。
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