「本屋さんの一期一冊」
書店員さんが、今おすすめの1冊を紹介します。
『明るい夜に出かけて』
お笑い芸人さんたちによる深夜のラジオ放送は独特の親近感や一体感が生まれ、不思議な魅力があります。
実在する人気ラジオ番組をモデルに、ラジオの面白さとリスナーたちの熱狂をリアルに描き、また、昼の世界からちょっとだけはみだしてしまった若者たちが、自分らしいやり方で世界に参加していく姿を真摯に描いた作品です。
学校がつらい、自分の居場所と思えない。そんなとき、無理になじもうとするよりも、新しい場所を探したほうが早いかもしれません。「ここにいるときの自分が好き」と思える場所が誰にでもきっとあると思います。
この物語に出てくる4人は好きなものも性格もバラバラなのに、ゆるくやさしくつながっていて、こんな友情もアリだなと思わせてくれますよ。
(東京・HMV&BOOKS 日比谷コテージ 花田菜々子)
佐藤多佳子/著、新潮文庫、724円
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