9月にはKDDIの「au PAY」が加わり4社体制に移行していたMobile Payment Alliance(MoPA)が解散するとの報道があった。
出典:メルペイ該当リリース
LINE、メルペイ、NTTドコモ、KDDIが参画するスマートフォン決済に関する加盟店アライアンス「Mobile Payment Alliance(略称:MoPA、モパ)」が近く解散する見通しであることが12月18日、複数の関係者への取材で分かった。
MoPAの目的は、各社が提供するスマートフォン決済サービスの加盟店を、一定量、相互開放することにあったが、MoPAの創設メンバーでもあるLINEは、11月にヤフーとの経営統合の方針を発表。両社は統廃合を含めた個別のサービスの方針について明言を避けているが、仮にLINE PayとPayPayが何らかの関係を持つのであれば、日本におけるモバイル決済の巨人が誕生することになる。参画する各社にとって、MoPAにコミットする経営的な理由が希薄になったと見られる。
MoPA解散は「ヤフー・LINE経営統合」の余波?
MoPAの仕組み(2019年6月撮影)。
撮影:小林優多郎
MoPAの歴史は浅く、2019年3月にLINEとメルペイが戦略的業務提携を締結した後に設立。6月にはNTTドコモ、9月にはKDDIが参画したばかりだった。
決済事業者としては加盟店開拓にかかるコストの削減、導入店舗側には1つのQRコードの設置だけで済むなど煩雑さの解消、そして消費者にとっては1種類の決済サービスで使える店舗が増えるというメリットがあった。
参画している企業を見わたすと事実上、ソフトバンクの営業力をフル活用する「PayPay」や、すでに楽天カードなどで加盟店との強いつながりを持つ「楽天ペイ」への対抗にも見えていた。
2019年6月のLINE CONFERENCE 2019に登壇していた、LINE Pay 取締役COOの長福久弘氏(左)、NTTドコモのウォレットビジネス推進室室長の田原務氏(中央)、メルペイ代表取締役の青柳直樹氏。
撮影:小林優多郎
MoPAの活動は事実上始まっていなかったため、各社への実質的な影響はほぼないと、関係者は口を揃える。
とはいえ、ユーザーや加盟店側の視点に立てば、1つのQRコードによる相互利用(決済)の可能性が1つ絶たれたことになる。事業者ごとに異なるQRコードが掲示されるという、雑然とした状況はしばらく続きそうだ。
(文、撮影・小林優多郎)