4月26日に開幕した現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2019」(同実行委主催)の春会期が26日、全ての日程を終え閉幕した。31日間の会期中、高松港周辺や坂出市沙弥島、小豆島などで作品公開やイベントが行われ、大いににぎわった。
この日、高松市サンポートの大型テント広場では県内の獅子舞が集結する公式イベントが開かれ、各保存会が地域色豊かなステージを繰り広げ、春会期のフィナーレを飾った。
獅子舞イベントは「『舞』讃岐の伝統~新たな時代へ~」と題して、讃岐獅子舞保存会が選出した4市2町の6団体が出演。岡山県の郷土芸能、備中神楽の神楽太夫が司会を務め、鉦(かね)や太鼓の音が鳴り響く中、色鮮やかな油単や木彫りの獅子頭など個性豊かな獅子が次々と登場、勇壮な演舞を繰り広げた。フィナーレの「一斉演舞」では6団体全ての獅子が同時に乱舞。親子獅子の共演や、はしごに登って演舞する獅子もあり、来場者らが熱心に見入っていた。
このほか、自分だけの獅子頭を作るワークショップもあり、子どもたちが段ボール製の獅子頭に好きな色を塗って楽しんでいた。
住民「やってよかった」 沙弥島で閉幕行事、作家と労ねぎらう
瀬戸芸の春会期だけの参加となった坂出市の沙弥島会場では26日、クロージングイベントが行われた。夕暮れ時の島に、作家や地元の住民らが続々集合。手を取り合って進めた制作活動や会期中の運営など互いの労をねぎらい、再会を誓い合った。
閉幕を惜しむイベントは、旧沙弥小中学校の校庭で実施。来場したアートファンらを含めて約300人が参加した。
閉幕に当たり、芸術祭坂出市実行委会長の綾市長が「いろいろな方の協力で成功できた。前回より多くの来場者があり、本当にありがとうございます」と感謝の言葉を述べ、地元の与島地区5島の代表者に記念品を贈呈した。
続いて島内で作品を展示した作家たちがあいさつ。瀬戸大橋記念館横の「八人九脚」を制作した藤本修三さん、ナカンダ浜で「家船」を手掛けた現代アートユニット・Yotta、漁網アート「そらあみ」の五十嵐靖晃さんが「人々の気持ち、自然の風景など、全てがあってこそ本来のアート。これからも芸術祭を続けていってほしい」などと思いを披露した。
記念撮影の後、沙弥自治会の浅野一善会長が「瀬戸芸、やってよかった-」と音頭を取って全員で乾杯。関係者らはジャズ演奏や軽食を楽しみながら、日暮れまで一層の交流を深めていた。
◇ ◇ ◇
夏会期は7月19日から8月25日までの38日間、小豆島、直島といった七つの島と高松港周辺などを会場に開催。瀬戸内の特産品や工芸品などとコラボレーションした新作を展示する。
作品の一部は、夏会期が始まるまでの間も会場に残り、春会期のみ開催した沙弥島では「階層・地層・層」(ターニャ・プレミンガーさん)、「八人九脚」(藤本修三さん)の2作品が鑑賞できる。
外部リンク