レモンは一年中、店などで見かけますが、旬は秋から冬だということを知っていましたか? 今回はレモンを多く育てている瀬戸内地方の気候のお話です。
レモンの祖先は、ヒマラヤの東部から西部付近に生えていた果物と考えられています。日本には明治時代の初めに伝わり、その後、食文化の変化(洋食の広まり)にともなって、栽培されるようになったそうです。現在、レモンを多く生産している代表的な国はインドです。
日本では、主に広島県と愛媛県といった瀬戸内地方で生産が盛んです。これらの地域の果樹園では、白くかわいいレモンの花がさきます。実が大きくなり、収穫され、みなさんのうちの食卓に並ぶのです。
瀬戸内地方ではレモンだけでなく、ミカンなど多くのかんきつ類が育てられています。というのも、かんきつ類は温暖で雨が少ない気候を好みます。瀬戸内地方は日本の中でも比較的温暖で雨が少なく、かんきつ類を育てるのに一番適していると言われています。
なぜ、そのような気候でないとレモンが育たないのでしょうか。
まず、かんきつ類は寒さに弱く、日当たりが悪い場所ではうまく育つことができません。特にレモンは気温がマイナス2度を下回るような寒い地域では育ちが悪くなってしまうと言われています。
さらにレモンの木にはするどいトゲがあります。そのため強い風がふくと、このトゲが実を傷つけてしまい、そこから病気になってしまうことがあります。レモンは寒さだけでなく風にも弱いのです。
瀬戸内地方というのは、南は四国山地、北は中国山地にはさまれていて、日当たりのよい斜面がたくさんあります。また一年を通して強い風がふきにくく、雨があまり降りません。水不足になってしまう地域もあるほどです。このような気候を「瀬戸内式気候」と言います。レモンが育ちやすい条件にぴったりですね。
こうした理由から、風のおだやかな晴れの日が多い瀬戸内地方はレモンなどのかんきつ類を育てるのに適しているのです。
これから寒い冬がやってきます。レモンでビタミンCをとって、かぜをひかないようにしたいですね。
* *
南口侑希 みなみぐち・ゆき
大阪府出身。気象予報士になることは小学生のころからの夢だった。仕事では、天気の解説だけでなく、モノの売れ方と天気の関係を調べている。
外部リンク