A.第一志望に合格できるのは、首都圏では3~4人に1人と言われています。つまり、半数以上の受験生が第一志望以外に進学するということです。
第一志望については、受験生、あるいは親に並々ならぬ動機があるでしょう。そして、第二志望以下については、第一志望ほどの強い動機がないかもしれません。
しかし、実際に通う事になった場合、その学校に対して6年間、学費と時間を投資することになります。その6年間でお子様の価値観や人格が形成される部分も無視できません。
よって、偏差値表や模試の合格可能性の数値だけで併願校を決めるのは絶対に避けましょう。一番大切な基準は、入りやすさや知名度ではなく「我が子が6年間過ごす価値があるかどうか」です。もちろん、それは第一志望にも言えることですが、必ず家庭内で「子育ての芯」を明確にしておきましょう。
良い面を伸ばしてほしい、友だちに恵まれてほしい、部活に思いきり取り組んでほしい、とにかく学力を上げてほしい――そこが夫婦間、あるいは家族間で共有できれば、必要な学校が浮かび上がってくるはずです。
もちろん、偏差値は入試問題の難度をはかる一つの目安にはなります。しかし、入試問題の難度と偏差値は必ずしも一致していません。
また、教育観に合致する学校を見つけるためには、色々な学校に足を運ばねばなりません。それを面倒と思うか、多様な教育観を知る機会と思うかで、中学受験に対する前向きさも変わってきます。
どの学校も「ぜひ通いたい(通わせたい)」と思えるような併願校を、選んでください。
安浪京子(やすなみ・きょうこ)中学受験算数専門プロ家庭教師「(株)アートオブエデュケーション」代表として、受験算数の指導および中学受験メンタルサポートに力を入れ、毎年多数の合格者を出している。中学受験に関する講演やセミナーを多数開催。毎月第2,4木曜10~12時に、中学受験の悩みをざっくばらんに話し合う「中受カフェ」を開催中。 著書に『きょうこ先生のはじめまして受験算数』シリーズ、『中学受験 6年生の親がすべきこと』(いずれも朝日学生新聞社)、「中学受験 男の子を伸ばす親の習慣」「中学受験 女の子を伸ばす親の習慣」(共に青春出版)など。
外部リンク