神奈川県川崎市の路上で私立・カリタス小の小学生らが刃物で切りつけられ、2人が亡くなった事件で、子どもたちの間でも悲しみと動揺が広がっています。事件とどう向き合えばいいのでしょうか。心のケアの専門家らに話を聞きました
保護者「登下校の安全を子どもと模索」
カリタス小2年の子どもを持つお母さんは、電車の中で事件を知り、子どもに持たせているGPS(全地球測位システム)の位置情報を確認したそうです。学校に着いていることがわかり、学校からも無事の連絡が入ってむかえに行きました。
子どもは大人たちのようすで「ただごとではない」とわかり、帰ってからは「こわいからテレビをつけないで」と話したそうです。
臨時保護者会では、ニュースをまったく見せないようにするよりも「正確に情報を伝えてください」と話がありました。警備の強化や見守りへの協力について保護者からも提案があり、「子どもたちをみんなで見守っていこう」と考えが一致したそうです。
お母さんは、授業が再開したら通学につきそうか、使う駅を変えるかなど「子ども本人と模索していきたい」といいます。
こわい気持ちは親や先生に伝えよう
現場にいた子どもたちだけでなく、同じ学校に通っていたり、事件のことを聞いたりした子どもも、「こわい。また、こんなことが起きるのでは」と感じていることでしょう。
子どもの心のケアにくわしい東京学芸大学教授の小林正幸さんは「そのように感じるのは当たり前のことなので、大丈夫」と言います。「そんな気持ちになったときは、自分一人で抱えこまないで、自分が一番信頼できるお母さんやお父さん、学校の先生といった大人に伝えることが大切です」
小林さんによると、こわいとか、悲しいといった気持ちは何度もくり返しわいてきます。そのたびに、がまんしないで大人に全部はき出すことが重要です。そうすることで少しずつ気持ちが落ち着きます。
伝えられた大人は、その感情を絶対に否定することなく、受け止めましょう。子どもの気持ちが、おだやかになるまで付き合うことが大切です。
自分の気持ちをなかなか口に出せない子もいるでしょう。「話さなくてもいいので、学校にいる臨床心理士やスクールカウンセラーの先生に会いに行ってみましょう」と、小林さんは言います。
子どもの安全にくわしい「日本こどもの安全教育総合研究所」(東京)の理事長、宮田美恵子さんは「今回のような事件を防ぐには、警察など犯罪をよく知る人に子どもたちを守ってもらうことが重要です。『絶対に守る』という仕組みを大人たちが作り、子どもたちに見えるようにすることで、子どもたちの気持ちが落ち着いてきます」と話しています。
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