丸亀城の石垣の本格修復工事に向け、丸亀市は崩落した石垣の撤去を始めた。石垣下の城内グラウンド跡に大型クレーンを据え、15日は烏帽子(えぼし)岩のような形で残っている三の丸南西角の石垣を撤去する作業を進めた。2023年度の復旧完了を目指している。
石垣の撤去は、今夏に着手予定の本格修復工事を前に、崩落斜面の安定化を目的に行っている応急対策工事の一環。復旧する石垣の石は約6千個を想定しているが、同工事ではこのうち571個を撤去する。
この日は作業現場を報道陣に公開。クレーン1基を使い、高さ約30メートルにある烏帽子岩形の石垣から重さが最大で約2トンの石を一つ一つグラウンドに移動させた。烏帽子岩形の石垣の撤去は来週中に完了する。
応急対策工事は5月末までの予定。石垣を撤去しながら斜面を3段に削って緩やかにし、モルタルを吹き付けて保護する。また、三の丸の表面には雨水が浸透しないようシートを張り、長さ90メートルの排水路なども設ける。
同市の谷口信夫都市整備部長は「安全を第一に工事を進め、本格修復につなぎたい」と話した。本格修復工事の業者については22日にゼネコン1社を選定する予定。
撤去作業を見ていた市内の男性は「やっとこの日が来た。早く修復してほしい。丸亀城は市民の宝。崩れた姿を見るのはつらい」と目頭を熱くしていた。
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