性の具体的な疑問や悩みに医師専門家が答えるQ&A。
それぞれの専門家が皆様の疑問や悩みにお答えします。同じ悩みや、参考になる答えが見つかるかもしれません。
小学生の息子がスカートをはきたがります。いじめの不安もありますし、はかせないほうがよいでしょうか? 性同一性障害という言葉も聞きますが、どうなのでしょう。(7歳男子/母親・30代後半)
希望をゆっくりと聞きとってあげることが必要
お母さまとして、お子さまがつらい思いをされるのではと心配ですよね。
まずご本人がどこで、誰といるときに、どれくらいの頻度でスカートを履きたいと思っているか、その希望をゆっくりと聞きとってあげることが必要かと思います。
学校へ毎日履いていきたいのか、おウチで時々履きたいのか、それによって対応が大きく異なるからです。
そしてもし学校へ履いていきたいという場合には可能な範囲で学校とも連携し、実現可能なラインを探っていくことになります。
お子さまからこういったご相談があったことで、お母さま自身も戸惑われていることもあるかもしれません。ですが、性に関する価値観や人それぞれ多様で当然。そこに優劣はありません。
大切なのは一番身近な親御さんがお子さまのもつ気持ちを否定せず、理解しようという協力の姿勢を見せてくれることではないかと感じます。(大貫 詩織先生)
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大貫 詩織先生助産師/思春期保険相談士。神奈川県立保健福祉大学 看護学科卒業。総合病院産婦人科にて勤務ののち、現在は精神科児童思春期病棟に勤務し入院患者への性教育プログラム立ち上げに従事。
また学校での性教育に関する出張講座や、若者向けの性と命の語り場イベント『イノチカタルサロン』の主催、Youtubeチャンネル『【性教育YouTuber】シオリーヌ』を運営。
はかせていいと思います!
いじめにあおうが何だろうが、「どうしてもスカートをはきたい」という意思が強い場合には、性同一性障害(GID)である可能性もあります。
性同一性障害の場合、二次性徴を迎えることが、一番の苦痛であり、不可逆的な変化を迎えることになります。
もし二次性徴よりも前の段階で、性同一性障害の診断がついていれば、二次性徴を迎える時にホルモン抑制療法を行うことで、将来的な手術を回避できる場合もあります。
また、性自認にはゆらぎもあり、慌てて診断をつけなければいけないということではありません。
今、学校では文科省から「性同一性障害の生徒・児童に対し、配慮をするように」と通達も出ており、学校にも積極的に相談してみるといいでしょう。(高橋 幸子先生)
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高橋 幸子先生 埼玉医科大学 医療人育成支援センター ・地域医学推進センター/産婦人科。山形大学医学部卒業。埼玉医科大学総合医療センター研修医、埼玉医科大学病院産婦人科助教、埼玉医科大学地域医学医療センター助教を経て、現職。年間80回以上、全国の小学校・中学校・高等学校にて性教育の講演を行っている。教育雑誌、TVなど、性教育テーマでのメディア掲載・出演実績多数。
活動:日本家族計画協会クリニック非常勤医師、彩の国思春期研究会西部支部会長
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「命育」とは、子どもたちが、性や妊娠・出産などを含む命についての正しい知識を身につけ、「自ら性や命と向き合う力」をはぐくむ教育です。
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