人工知能(AI)研究の国内第一人者として知られる東大大学院の松尾豊教授(44)=坂出市出身=のサテライト研究室「MAiZM」が14日、三豊市財田町にオープンした。設置は、昨年8月に市と松尾教授の研究室、香川高専が締結した合意に基づくもので、先端技術を活用した地域課題の解決や人材育成の拠点などとして期待がかかる。
オープニングイベントには、松尾教授や山下市長、企業関係者ら約100人が出席。松尾教授は「地方の企業であっても世界に羽ばたくことが不思議ではない時代。そういう企業をつくることを第一の目標にしたい」とあいさつ。山下市長は「AIが地域課題にどこまで迫れるか突き詰め、自治体や企業の皆さんと挑戦したい」と述べた。松尾教授、香川高専の安蘇芳雄校長ら5人がテープカットを行いスタートを祝った。
松尾教授は「AIが切り拓く地方の未来」と題して記念講演。機械が自ら考えて学習する「ディープラーニング(深層学習)」を紹介し、「近年は画像認識の精度が劇的に上がっており、現在は人間よりも低いエラー率を出している」とした。さらに「『高専』は日本固有の制度。高専で機械工学を学んだ生徒がAI技術を身に付ければ、世界中のシェアを占める商品を生み出せるかもしれない。こういうことを私はやりたい」と力を込めた。
香川高専詫間キャンパスの学生によるAI研究の事例紹介もあり、画像認識技術を活用したイノシシ捕獲用のおりや、送電線の点検ロボットなどが出席者の関心を集めていた。
安蘇校長は「参画できてうれしい。本年度からは選択科目としてAIをカリキュラムに組み込んだ。将来、日本のビジネスに貢献するような生徒が香川高専から生まれることを信じている」と話していた。