携帯電話(携帯)・スマートフォン(スマホ)の利用について先月、朝日小学生新聞読者にアンケートをしたところ、124人から回答があり、約48%の人が携帯やスマホを学校に持ちこむことに賛成でした。一方、反対という約35%からは、かくれて使うことやいじめを心配する声もあります。結果と、生徒全員に「制携帯」としてスマホを配り、ルールを決めて活用する学校を紹介します。(畑山敦子、中塚慧)
インターネットを通じて回答してくれた人は、学年別では小4から小6の高学年が約7割の88人でした。自分用のスマホを持っている人が16・9%、「機能限定携帯や子ども向け携帯など」が49・1%、持っていない人が33・8%でした。
学校にスマホや携帯を持っていくことについては、賛成が47・5%で最も多く、反対が34・6%、どちらでもないが17・7%でした。
保護者とやりとり
賛成の意見では「火事や地震が起きたとき、親に連絡できるから」(東京・小3)、「家族との連絡や防犯の役にも立つ」(兵庫・小4)など、緊急時の連絡手段として必要という声が多く寄せられました。「学校帰りに、そのまま習い事や塾に行くこともあるから」(神奈川・小5)など放課後、帰りがおそくなるときの連絡に便利という意見もあります。
反対の人からは「ルールを破って、授業中に内緒で携帯電話を使う子が出るかもしれない」(大阪・小5)とルールが守られないことや、「携帯のメールやLINEで友だちの悪口を言ったりしていじめが起きるから」(神奈川・小5)といじめにつながる可能性を心配する声が多く寄せられました。「持っている人といない人の間で不平等だと思う」(神奈川・小6)という声もありました。保護者と連絡をとれて安心な一方、持ちこみ可になればいじめやトラブルへつながる心配もある結果となりました。
スマホや携帯を持つ人に使い方を聞いたところ(複数回答)、「保護者と連絡をとる」(63・7%)が最も多く、「友だちとメッセージをやりとりする」(18・5%)、「学習アプリやネット検索など勉強に使う」(13・7%)、「学習以外でネット検索をする」(11・2%)も10%をこえました。
ルールを設けて「制携帯」 神戸 須磨学園高校・中学
スマホを災害時や学習に生かそうと、生徒全員にスマホを配り、制服のように「制携帯」として使う学校もあります。
兵庫県神戸市の私立須磨学園高校・中学で制携帯が始まったのは2010年。遠くから通う生徒も多く、帰りがおそくなるときの保護者との連絡用など、携帯は欠かせなくなっていました。「禁止するのではなく、正しく使うよう教え、管理しようと決めました」と理事長の西泰子さんはいいます。
携帯会社と契約し、有害サイトにつなげられないように設定。授業中は基本的に電源オフ、「ながら」使用は禁止などとルールを設けました。中学生までは、午後11時~午前5時にインターネットにつながりません。
「最も役立つのは災害時」と西理事長。去年6月の大阪府北部地震でも、30分以内に約1600人いる全生徒の安否確認が取れました。授業や宿題でも、英語の発音練習などに活用しています。
Aさん(中2)は、「授業中に関心を持ったことを家で調べるなど、必要なときだけ使うようにしています」。Bさん(中2)は「先生に質問できるアプリも入っていて便利です」。2人とも家族とのルールで、制携帯をリビングルームに置いています。
学校側がスマホにかけた制限を生徒が突破するなどトラブルもありましたが、そのたびに仕組みを改善しています。
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