シゴトファイル おもちゃプロデューサー
タカラトミー マーケティング本部 武田誠さん(35)
おもちゃを、喜んでくれる人の元に届けるためにはどうすればいいか。
それを考えるのがおもちゃのマーケティング担当者の仕事です。
届け先である子どもたちの生活、好みについて情報収集し、販売プランを考え実行。
結果からさらにプランを考え実行します。
開発、生産、品質確認、営業など、さまざまな部署の人と協力し市場に届けます。
武田さんが担当しているのは、コレクションして楽しむ人形「L・O・L・ サプライズ!」シリーズです。
発売後9カ月で出荷数が280万体を突破し、6月には、日本おもちゃ大賞の「前年度ヒット・セールス賞」を受賞しました。
L・O・L・は2016年にアメリカで発売されました。
写真映えする見た目や、小分けのパーツを全て開封するまでどの人形が入っているかわからない楽しさで、世界中で流行しています。
おもちゃ業界には、海外でヒットしているおもちゃでも、日本では売れないことが多いという定説があります。
しかし、最近はSNSの普及で「世界の情報に触れやすくなり、子どもが海外のおもちゃも受け入れやすくなっている」と武田さんは感じていました。
タカラトミーが日本で販売する権利を獲得し、日本での展開を考えました。
武田さんが目を付けたのがSNSの波及力です。
CMには、インスタグラムのフォロアー数が日本一のお笑い芸人、渡辺直美さんらインフルエンサーを中心に起用。
渡辺さんらや一般の人が、L・O・L・の開封動画をSNSなどにアップするようになると、大きな話題になりました。
「アイデアは無尽蔵にあったほうがいい」と武田さん。
刻々と世の中が変わる中で、視野がせまくならないよう気を付けています。
トレンドのキーワードと商品をかけ合わせたら何ができるか、いつも考えているそうです。
おもちゃ売り場で、自分が担当したおもちゃを親にせがんでいる子どもたちの姿を見ると、「世界にたくさんある中で、これを選んでくれたことに思わずぐっときてしまう」と言います。
「どこの国にでもあり、おもちゃで遊ぶことは、人と人のかけ橋になる。自分が関わるもので人を楽しませ、幸せにしたい人にはおすすめです」(小貫友里)
シゴトの極意
①たくさん考える
商品や届けたい相手のことを、世界で一番考えているのは自分だと言えるくらい考える
②行動してみる
失敗におくすることなく、とにかく実際にやってみる
③切り替える
世の中は日々変わる。考えてやってみたことが失敗しても、次にチャレンジ
あゆみ
1983年、大阪府堺市生まれ
■ 小学校時代
お笑い番組を見るのが大好きで、友達とまねして遊んでいた
■ 笑いで学校を盛り上げた中学時代
理解のある先生が、学校で漫才やコントを披露するイベントを企画させてくれた。さらに学校を楽しい場にしたいと、生徒会役員にもなる
■ バンドを組んで楽しんだ高校時代
桃山学院高校(大阪市)に進学。友達とバンドを組み楽しく過ごす。スタジオ代のため、引っ越し、居酒屋などさまざまなアルバイトもした
■ 2002年
京都産業大学経済学部に入学。イベントを企画してさまざまな人と交流。1カ月かけて友達と車で日本列島縦断など「とにかくたくさん遊んだ」
■ 2006年
タカラトミー入社。おもちゃ店などの販売促進サポートの部署を経て、マーケティングの部署へ。現在は女の子向け玩具を担当
ターニングポイント
遊びを仕事にする道
大学3年生になって就職活動を進める時期になっても、楽観的でまだ動き出さずにいました。
私が大好きな「遊ぶこと」を仕事にする方法を友人たちと考え、「おもちゃに関わる仕事はどうか」という結論に達しました。
仕事として遊べるなんて考えたこともありませんでしたが、実際に出会ったおもちゃ業界の人には楽しい人が多く、遊びについて真剣に語る姿を目にするうちに、働きたいと思うようになりました。
これだけは!アイテム
人と連絡を取るためのスマートフォン。
タブレット端末は、担当するおもちゃに関してSNSに寄せられる反応を確認したり、人におもちゃを説明する際に資料や動画を見せたりするために使います。
後輩へメッセージ
ふろしきを広げて楽しめ!
「楽しいことを全て拾うんだ」くらいの勢いで、楽しんだらいいのかなと思います。不正解はありません。大人になってもずっと失敗はあるので、いまは恐れず、楽しんでほしいです。
外部リンク