カラフルでお菓子のような香りのする甘い炭酸飲料は、幼い時にはとにかく魅力的に映りました。しかし「そんなものばかり飲んでいると骨と歯が溶けて無くなっちゃうよ!」と家族からよく叱られたのを今でも覚えています…。同じような経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか?子どもを叱るための方便だったのか、それとも根拠のある話なのか?今回はそんな炭酸飲料と、骨と歯の健康にまつわるお話です。
炭酸に罪なし!?
現在では「炭酸が骨や歯を溶かす」という説には否定的な意見を出す研究者の方が多いようです。
確かに、炭酸水は酸性の飲料であり、歯のエナメル質を溶かす可能性も無いとは言えないのですが…そもそも、酸性の性質を持つ飲食物は炭酸飲料だけではありませんし(炭酸飲料より高い酸性の値を示す食べ物もたくさんあります)、口の中は唾液の働きで中性を保つように調節されるため、そこまで危険視するほどのものではない、という意見に落ち着くことが多いようです。
直接炭酸飲料に触れる歯ですらこのような見解になることが多いため、触れることのない骨に至ってはさらに危険性が下がると考えていいでしょう。
でも、全くの方便では無い??
しかし、炭酸飲料を水の代わりにたくさん飲むのというのは考え物です。炭酸だけが歯にダメージを与える原因ではないとはいえ、酸性の性質を持っていることは間違いないからです。
また、食事の時間以外でも少しずつ飲んでいる場合は、唾液による中性化を遅らせてしまい、口の中の酸性の時間が増える=その分だけ歯にダメージを与えることになります。
さらに、炭酸飲料は発泡の刺激に負けないよう、砂糖を始めとする甘味料や酸味料を添加して味付けを濃くする傾向の高い飲料です。そのため、酸性値やエネルギーが必要以上に高くなっていることも十分考えられるのです。
これらのことから総括すると「歯が溶けるのは炭酸飲料だけが原因ではないが、飲み方には注意をしなければならない」のが炭酸飲料を取り巻く現状と言えるでしょう。
歯の健康を第一に考えるのなら、炭酸飲料は水分補給よりも、おやつと同じ嗜好品と考え、飲んだら軽く口をすすぐ習慣をつけるのが良いでしょう。
「骨と歯が溶ける!?」をめぐる炭酸飲料の話は以上です。歯はともかく、骨が溶けるのはやや苦しい言い分のようですね…。今後はお子様にねだられても「虫歯になって痛い思いをするよ!」とストレートに言ってあげた方が効果的かも!?
Text by はむこ/食育インストラクター
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