琴平町の旧金毘羅大芝居(金丸座)で開催中の第35回記念四国こんぴら歌舞伎大芝居(同町、同大芝居推進協議会主催)で、舞台の立ち上げに尽力した立役者の一人、沢村藤十郎さんを招いた記念座談会がサプライズで行われた。観劇に訪れていた歌舞伎ファンは、藤十郎さんが突然登場すると驚きの声を上げ、大芝居創成期の苦労話などに興味深そうに聞き入っていた。
同大芝居は、藤十郎さんと中村吉右衛門さん、故18代目中村勘三郎さんがテレビ番組で対談した際に開催話で盛り上がり、その後に実現した経緯がある。
節目となる第30回公演の前に藤十郎さんと勘三郎さんが座談会をしようと約束していたが、2012年の勘三郎さん急逝で果たされなかったという。今回の座談会は11日の午後の部上演終了後、同大芝居の35回を記念して松竹と琴平町が開催した。
座談会には、勘三郎さんの長男で今回の公演で座頭を務めている中村勘九郎さん、次男の七之助さんが参加。司会は藤十郎さんの弟子の沢村国久さんが務めた。20年ぶりに金丸座の舞台に立った藤十郎さんは「当時は面白いことをやろうと考えて金丸座にきた」と述懐。36年前の第1回公演は地元の郷土史家に「保存すべき芝居小屋が壊れるから」と猛反対されたことを打ち明け、「開幕を迎えるまでは本当に大変だった」と振り返った。
勘九郎さんは「3人が立ち上げてくれたからこそ、35回の記念の舞台に私たちが立てている」と目頭を押さえながら感慨深そうに語り、七之助さんは、父・勘三郎さんから「(藤十郎さんは)芝居をよく見ているから見習いなさい」と言われてきたなどと裏話を披露した。3人は座談会の最後に「金丸座をさらに盛り上げるため、面白いお芝居をやりましょう」と締めくくった。
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