本屋さんにはたくさんの本があふれ、お子さんに手渡す1冊に迷ってしまうことがありますよね。子どもの本を専門とする東京子ども図書館(中野区)の司書・鈴木晴子さんが、最近出た本の中から、おすすめの3冊を紹介します。今日は、低学年からの1冊です。
『なんげえはなしっこしかへがな』
文 北彰介、絵 太田大八、BL出版、1620円
きりなく続くはてなしばなし
この絵本のだいめいは、青森県津軽地方のことばで、「ながーい話をしてやろうかな」のいみです。さて、どれくらい長いお話かというと……。
ある山に、くりのみをたくさんつけた木があって、そこにからすがとんできました。からすが「ガアってないだっきゃ、くりの実ぁひとつ、ポタンっておぢだど。……ガア ポタン ガア ポタン ガア ポタン……」。くりのみは、なん千なん万とあったので、ぜんぶおちるのになんと1年と3日もかかった!というお話です。
このように、いつおわるかわからないほど、きりなくつづくお話を、「はてなしばなし」といいます。この本の作者の北さんが子どものころ、夜、おばあさんがいろんなお話をしてくれたそうです。北さんがいつまでもねないと、おばあさんはこうした「はてなしばなし」をしてくれたのだとか。この本にはそんな、ながーいむかし話が七つ入っています。
どれくらい長い話にするかは、あなたしだいです。一つおぼえて、友だちにお話してみませんか?
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次回配信では、中学年からの1冊を紹介します。
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