新型コロナウイルス感染拡大にともなうマスク不足が4月も続いている。
数少ない入荷のマスクを求め、店舗に早朝から「行列」を作る消費者が続出。開店時の販売をやめて、時間を予告しない「ゲリラ販売」に切り替える店舗が出ている。
ところが、SNSではマスクの棚の前に座り込んで待つ人や、駐車場で「待機」する人が報告され、新たな悩みの種となっているという。今、現場では何が起きているのか。(弁護士ドットコムニュース・猪谷千香)
●早朝行列でトラブル続出、「三密」で感染リスクも
都内のある駅前ドラッグストアでは、「マスクありません」と入口に大きな注意書きを出している。
マスク販売の整理券を求めて、早朝から店舗前の道路に長蛇の列ができてしまい、歩行者や自動車のドライバーから苦情が出ていたという。
スタッフによる行列整理にも限界があり、感染リスクの高い「三密」の状態におちいってしまうことから、4月5日からマスクの販売時間帯を不定期へと変更した。
こうした「ゲリラ販売」は、全国に広がっている。
ドラッグストアチェーンの「ツルハドラッグ」でも、4月13日から不定期へと変更した。すでに一部の店舗で先行していたが、全国1200店舗(福岡県をのぞく)の規模で実施するという。
早朝から並ぶことが難しい人から、他の時間帯にも販売してほしいという要望があったこと、転売目的と思われる人が定期的に列に並び、購入しているケースもあったそうだ。
「スギ薬局」や「ココカラファイン」、「マツモトキヨシ」などのドラッグストアチェーンでも、やはり販売時間を変更する店舗が増えている。
●「ゲリラ販売」を待って、1日中店内をうろうろ
しかし、今度は、店内や駐車場で「待機」する人が各地で報告されている。店舗と絶対にマスクを求めようとする一部の消費者との「いたちごっこ」は止まる気配がない。
SNSでは、次のような情報も報告されている。
- 「男性が1日中、店内をうろうろしてマスクの販売を待っている」
- 「駐車場で家族連れが待機していて、車が停められない」
- 「高齢者のグループが店内待機を禁止されたため、1人を店内に残して他のメンバーは近くの喫茶店に待機している」
株式会社スギ薬局(本社:愛知県大府市)の担当者は、次のように話す。
「普段からSNSをモニタリングしていますので、今回も一部の店舗で待機されるお客様がいらっしゃることは把握しております」
●「いろいろな言葉を浴び続けているが、それも含めて仕事です」
政府はマスク不足の解消に必死だが、現場は変化を感じられていない。
「供給の回復に向かっているという兆しが、感じられません。それでも大手チェーンは入荷する方だと思いますが、一瞬でなくなります。少量ながらも確保するように頑張っていますが…」(スギ薬局の担当者)
マスク不足の本格化にともない、薬局やドラッグストアは2月から、懸命の対応をしてきたが、それにも限界がある。
「2月から現場では毎日、できる限りの対応はしていますが、どなたにとってもベストということが難しく、いろいろな言葉を浴び続けることになっています。でも、それも含めて私たちの仕事です」