小林航太さん(弁護士)
NHKの番組「みんなで筋肉体操」に出演したのをきっかけに注目を集める弁護士がいます。東京大学出身の小林航太さんです。筋肉隆々の「筋肉弁護士」は「筋トレと勉強は同じ!」と話します。(近藤理恵)
「絶対合格」に何が必要か
東京大学(文科一類)に現役で合格し、法学部に進みました。でも、学生時代は引きこもりのような状況になり、まったく勉強をしませんでした。その結果、2年間の留年。卒業したものの無職であとがなくなりました。そこで法科大学院に進み、司法試験に挑もうと一念発起。「絶対に合格する」と心に決め、3年間必死で勉強を重ねて一発で合格することができました。
受験で大切なのは「絶対に受かる」という心構えだと思います。まずは目標を決め、何が必要かを考えます。志望校の過去問(実際の入試問題)を解き、合格するにはどの程度の力が必要なのか、いまの自分にとって足りないものは何かを把握してください。
次にすべきは、実現するためのスケジュールを組むこと。1年先を見すえた「長期」、3カ月先の「中長期」、1週間先までの「短期」、そして「1日」をそれぞれイメージします。たとえば短期なら受験する科目(教科)をまんべんなく勉強できるように考え、1日の取り組みについても一つの科目にかたよらないように気をつけます。
苦手にしている科目は後回しにしがちですが、苦手なものほど、はやめに取り組むことをおすすめします。その場合、基礎からこつこつ勉強するのがポイント。ぼくは数学が苦手でしたが、難易度が高い参考書から手をつけてしまい、失敗しました。
くやしい過去も「ばね」に
勉強に対して、やる気がわかないこともあるかもしれません。そんなときは目標を達成したあとの自分自身を具体的に思い浮かべてみます。「○○高校に入学して□□部に入るんだ」といった具合です。くやしい思いをした過去の経験も「ばね」になります。
ぼくの場合、中学受験で第1志望の学校に入ることができませんでした。あんなくやしさをもう味わいたくないと思うと、自然とがんばれました。
規則正しい生活も欠かせません。ぼくが大学を受験するとき、1月や2月に体調を崩すことがないよう、生ものを食べるのをひかえたり、しっかり睡眠時間を確保したりしていましたね。
試験は基本的にフェアなもの。正しい方法で勉強に取り組めば、ちゃんと結果が出ます。筋トレも同じです。中高生のみなさんは「この勉強って必要なの?」と思うことがあるかもしれませんが、勉強は人生の選択肢を広げてくれます。
大学時代、まわりの人たちがどんどん進路を決めていくなか、自分だけが取り残されて「どん底」の時期がありました。けれども、勉強することで巻き返しができた。特別な才能がなくても、努力で勝負できるのが勉強なのです。
こばやし・こうた 1988年生まれ。神奈川・栄光学園高校卒業後、東京大学(文科一類)に進学。2013年、首都大学東京法科大学院に進み、16年に司法試験に合格。筋トレを始めたのは趣味のコスプレのため。コスプレイヤー「よみめいと」としても活動。
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